アスファルト防水とは?工法・耐用年数・補修のタイミングをわかりやすく解説

※本記事は、2021年9月に公開したものを再編し、2026年5月に再公開したものです。
アスファルト防水は、マンションやビルの屋上など、中規模・大規模建築物で標準的に採用されており、施工実績が豊富で、防水性にも優れた工法です。
長寿命な工法として知られていますが、防水層の劣化や補修のタイミングが分かりにくく、そのまま放置すると、漏水などの大きな問題に発展するリスクがあります。
「アスファルト防水とは何か」「他の防水工法との違い」「補修のタイミングが知りたい」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、アスファルト防水工事に関する基礎知識とメリット・デメリット、他の工法との違いについて詳しく解説します。
劣化サインや耐用年数、改修費用など、多くの方からいただくご質問にも回答しますので、マンション管理組合様やビルの所有者様は、ぜひ最後までご覧いただき、適切な防水改修の判断にお役立てください。
Contents
アスファルト防水とは|工法の種類と特徴、耐用年数

アスファルト防水とは、防水工事の中で最も歴史が古く、液状の溶解アスファルトと防水性の高いアスファルトルーフィングシートを重ねて敷き、強靭で水密性の高い防水層を形成する工法です。
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↑こちらはhttps://www.kan-bo-kyo.or.jp/method/で見つけましたが、虫眼鏡マークをクリックしても拡大されません。サイズが小さく文字が読みづらいため、元データをお持ちでしたらご提供ください。
溶解アスファルトとアスファルトルーフィングシートを積層させるため、水密性・耐久性のどちらも高く、施工の不具合が出にくい工法として、信頼性が高く、多くの公共施設やマンションやビルの屋上に採用されています。
アスファルト防水の工法はいくつかありますが、それぞれ、アスファルト防水の上にコンクリートを打設する「コンクリート仕上げ」と、砂を吹き付けたシートで仕上げる「砂付けルーフィングシート仕上げ」と組み合わせられます。
アスファルト防水の主な工法は、以下の4つです。
熱工法

熱工法とは、アスファルト防水の中でも最も古くから施工されている方法で、220〜270℃と高温の溶解アスファルトとアスファルトルーフィングシートを交互に2〜5層重ねて水密性を高めるのが原則です。
| メリット |
▶︎広くてシンプルな形状の大規模建築物や工場の新築工事、周囲への影響が少ない郊外の現場に採用される |
| デメリット |
▶︎煙・臭いや危険性への配慮により、都市部など建物が近接しているエリアや、既存建物の改修では、あまり採用されない |
| 耐用年数の目安 | 15〜25年程度 |
トーチ工法

トーチ工法とは、高耐久の改質アスファルトシートを敷き込む工法で、水密性と下地への密着性を高めるために、シートの裏面をトーチバーナー※で炙って不織布シートに貼り付けて施工する方法です。
※カセットボンベなどの燃料タンクを装着し、1,000〜1,500℃と高温の炎を噴出する道具
一見すると、熱工法より水密性が劣るように思われますが、シート同士を熱で結合させて大きな1枚のシートにするため、高い防水性を実現できます。
| メリット |
▶︎環境負荷が少なく、コスパに優れた工法であるため、近年は新築・改修ともに標準的な工法として採用される |
| デメリット |
▶︎複雑な形状の建物や、障害物の多い屋上、狭いバルコニーなどには不向きなので、現場によっては他の工法と組み合わせて採用される |
| 耐用年数の目安 | 15〜20年程度 |
常温粘着工法(冷工法)

トーチ工法でも用いられる改質アスファルトシートを敷き込む工法ですが、トーチバーナーは使用せず、シートの裏面に付いているゴムアスファルトの粘着材で下地に貼り付けていきます。
火をほとんど使わないため、冷工法や自着工法とも呼ばれます。
密集地や狭小地や改修工事での施工がしやすく現場の安全管理についても有利で、仕上げの仕様によっては耐用年数が長いこともメリットです。ただし、施工費が他の工法よりも高いため、熱工法やトーチ工法と併用する場合もあります。
| メリット |
▶︎環境負荷が少なく、安全性が高いため、建物密集地や狭小地、既存建物の改修工事に採用しやすい |
| デメリット |
▶︎他の工法よりコストがかかるため、予算に合わせて他の工法と組み合わせて採用される |
| 耐用年数の目安 | 15〜25年程度 |
熱工法+常温粘着工法のハイブリッド「ストライプ工法」

↑こちらはhttps://bousui.tajima.jp/category/asphalt/stripes/?_gl=1%2a2czavp%2a_gcl_au%2aMTEwODAxMTkxNS4xNzc1MDgyNjEyから引用しましたが、使用を控えた方がよろしければその旨お知らせください。
ストライプ工法とは、歴史が長く信頼性の高い熱工法とゴムアスファルト粘着層を組み合わせたアスファルト防水の工法です。
1層目は裏面の粘着層で貼り付ける常温粘着工法を用いて、2層目は溶融アスファルトを用いた熱工法により、水密性を高めます。
公共建築工事標準仕様書※では、従来の熱工法と同等の防水性能が確認されており、多くの病院や学校などでも採用されています。
※公共建築標準仕様書:公共建築工事において使用する材料・機材・工法について、国土交通省が標準的な仕様を取りまとめた資料で、これに適用する旨を設計図書に記載することで、請負契約における契約図書の一つとして適用される
(参考:国土交通省|公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編) 令和7年版)
| メリット |
▶︎防水改修工事のスタンダード的な工法として、多くの現場に採用されている |
| デメリット |
|
| 耐用年数の目安 | 15〜25年程度 |
アスファルト防水と他の防水工法との違い|メリット・デメリット

マンションやビルの屋上防水に用いられる工法は、アスファルト防水だけではありません。
アスファルト防水のほかに、ウレタン塗膜防水・シート防水があります。
それぞれの特徴を比較すると、以下のようになります。
| アスファルト防水 |
【メリット】
【デメリット】
【耐用年数】 15〜25年 |
| ウレタン塗膜防水 |
現場で液状のウレタン樹脂を塗布して防水層を形成する方法 【メリット】
【デメリット】
【耐用年数】 10〜15年 |
| シート防水 |
現場でゴム製・塩ビ(塩化ビニル)製の防水シートを下地に貼る方法 【メリット】
【デメリット】
【耐用年数】 10〜15年 |
↓
| 比較項目 | アスファルト防水 | ウレタン塗膜防水 | シート防水 |
|---|---|---|---|
| 耐久性 | ◎ | ◯ | ◯ |
| 施工効率 | ◯ | ◯ |
◎ (簡便性が高い) |
| 施工柔軟性 |
◯ (施工可能場所が限定される) |
◎ |
△ (施工可能場所が限定される) |
| コスト |
◯ (高価だが、コストパフォーマンスが良い) |
◎ (安価) |
◎ (安価) |
このように、それぞれの工法にはメリットとデメリットがあるため、現場の状況によっては複数の工法を組み合わせるケースも珍しくありません。
「どの工法を選ぶべきか迷っている」という方は、防水工事のプロに相談しましょう。
アスファルト防水の劣化サインと点検・改修時期の目安|見逃しやすい症状を紹介

建物を長寿命化するためには、防水層の劣化サインを把握しておくことが重要です。
アスファルト防水は他の工法よりも耐用年数が長く、改修メンテナンスや点検を忘れてしまうケースもありますが、劣化が進行すると、結果として補修コストが増加する可能性があります。
そのため、日頃から屋上やバルコニーの状態を確認し、目視でアスファルト防水の劣化サインを見つけましょう。
劣化の早期発見により、漏水を未然に防ぐことができます。
主な劣化サイン
アスファルト防水の主な劣化サインは以下のとおりです。
| 劣化症状 | 状態と放置した場合のリスク |
|---|---|
|
シートの継ぎ目の開き (接合部のはく離) |
|
| 防水層のふくれ・浮き |
|
| 泥・土の堆積や雑草 |
|
|
表面保護塗料の変退色・細かいひび割れ |
|
|
防水層の損傷 (穴あき・外傷・破断) |
|
これらのサインを見つけたら、早めに専門家へ詳細な調査を依頼しましょう。
点検・改修時期の目安
屋上やバルコニーの防水を点検・改修するタイミングを決める場合、劣化サインの有無に加えて、前回行った改修工事から何年経過しているかも重要なポイントです。
アスファルト防水は、工法問わず前回の工事から15年くらいで軽度な劣化が現れる場合が多いため、新築もしくは前回の改修工事から15年近く経っている建物は、専門家による調査を依頼しましょう。
ただし、立地条件や屋上・バルコニーの用途と使用頻度によって、劣化し始める時期は異なるため、日頃から定期的に防水層の状態をチェックすることをおすすめします。
アスファルト防水の補修・改修方法|かぶせ工法・撤去工法・再生工法の違い

アスファルト防水の改修方法には、主に「撤去工法」と「かぶせ工法」、「再生工法」の3つがあります。
それぞれの違いは以下のとおりです。
| 撤去工法 |
|
| かぶせ工法 |
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| 再生工法 |
|
従来は、既存防水層を取り除く「撤去工法」が主流でしたが、近年は、環境負荷の低減から、「かぶせ工法」や「再生工法」を採用するケースが増えています。
ただし、最適な改修方法は物件ごとに異なるため、まずは専門家の建物調査や診断を受けるところから始めましょう。
アスファルト防水の改修工事費用

アスファルト防水の改修を検討する際に気になるのが、工事費用ですよね。
防水改修工事の費用は、補修範囲によって異なります。
部分補修
アスファルト防水は部分補修が可能で、1カ所あたり数万円から30万円程度かかります。
※補修カ所が少ない場合は工事費用が割高になる可能性があります。ご了承ください。
部分補修が可能な劣化例は以下のとおりです。
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ただし、劣化範囲が広い場合や既に雨漏りしている場合は、部分補修できない可能性があるためご注意ください。
また、周囲に目立った劣化は見られないものの前回の工事から年数が経っていると、部分的な補修をしても、その他の場所がすぐに劣化してやり直ししなくてはいけないケースもあります。
メンテナンスコストを抑えるために部分補修を繰り返すと、防水層がつぎはぎ状になり水密性は劣る点も大きなリスクです。
そのため、ある程度耐用年数が近づいている場合は、部分補修ではなく全面改修をおすすめします。
全面改修
アスファルト防水の全面費用は工法によって異なります。
費用の相場は以下のとおりです。
| 工事内容 | 平米単価の相場 |
|---|---|
| 既存防水撤去 |
500〜800円/㎡ (工法によって作業範囲が異なる) |
| 下地調整 |
1,000〜1,500円/㎡ (工法によって作業範囲が異なる) |
| 防水工事 |
熱工法・トーチ工法:6,000〜8,000円/㎡ 常温粘着工法(冷工法):5,000〜7,000円/㎡ |
|
改修ドレン 脱気筒 |
15,000〜20,000円/ヶ所 |
上記以外に、解体材・発生材処分費や現場管理費、材料荷揚げ、その他仮設工事費がかかります。
費用に影響する要因
防水改修費用は、以下の要因によって変動するため、具体的なコストを知りたい方は、施工会社に見積もり依頼しましょう。
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アスファルト防水改修工事の流れ

「そろそろ屋上防水の改修を検討しなくては」とお考えの方は、工事の流れを事前に知っておくことも重要です。
アスファルト防水の改修工事がどのように進むか全体像を把握することにより、工事期間中の不便さを回避でき、賃貸物件の場合は借り手の方とのトラブルを防ぐことができます。
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①専門家への防水調査依頼(新築時もしくは前回の改修から15年程度) ②調査結果をもとにした改修計画の検討(予算計画・工事実施時期など) ③施工会社の選定(初期段階では2〜3社に相見積もりを取るのがおすすめ) ④施工会社による見積もり・工程提出(予算や希望工事時期とのすり合わせ) ⑤見積もり内容の精査(金額・保証内容・代金支払いのタイミングなどを確認) ⑥施工会社との工事請負契約締結 ⑦着工前打ち合わせ(最終工程や周辺への配慮を確認) ⑧着工
⑨引き渡し:原則は、引き渡し日より工事保証期間が開始 |
防水改修工事を検討する際の注意点

アスファルト防水の改修工事を検討する際には、以下の点にご注意ください。
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これらの点を踏まえず改修計画を立てると、「雨漏りの危険性が高いにも関わらず、すぐに工事できない」「気がつかないうちに屋上の劣化が進行して、補修範囲が広くなった」などの問題が発生する可能性があります。
このような症状がある場合は、早めの相談がおすすめです。
- 屋上にひび割れや膨れが見られる
- 排水口周りに汚れや詰まりがある
- 前回の防水工事から15年以上経過している
これらに当てはまる場合、防水層の劣化が進行している可能性があるため、早めに専門家へ相談することで、工事費用を抑えることができます。
適切な改修のタイミングを知りたい方は、一度、専門家による建物診断を依頼してみましょう。
アスファルト防水に関する「よくある質問」

ここでは、アスファルト防水について多くの方からいただくご質問を紹介します。
Q .アスファルト防水は既に雨漏りしていても補修できる?
A.アスファルト防水から既に雨漏りしている場合は、既存防水層を全て撤去する「撤去工法」での改修が原則です。
一見、防水層が劣化していないように見えても、どこから雨漏りしているかわからない場合が多いため、かぶせ工法ではなく新規でのやりかえが必要になります。
Q .アスファルト防水にアスベストが含まれているって本当?
A.平成18年9月1日に改正された労働安全衛生法施行令により、現在、アスベスト(石綿)は全面使用禁止になっているため、法改正以後に生産されたアスファルト防水の関連資材には含まれていません。
ただし、法改正前に施行されたルーフィングシートなどには、一部アスベストが含まれているものもあります。
それらを撤去する際には、通常よりも高い処分費がかかるため、ご注意ください。
※防水層単独については1987年以降、ポリウレタン系断熱材を併用した断熱防水層については1991年以降、ルーフコーチング類やアスファルト系接着剤については2003年以降に施工された建物であれば、アスベストの規制対象になりません。(全く含まれていないか、含有量が0.1%未満で石綿障害予防規則の対象外)
Q .屋上防水の定期点検は、何年ごとに実施するべき?
A.屋上防水の状態は、最低でも5年に1度は確認しましょう。
その根拠は、国土交通省ではマンションの大規模修繕計画を見直す周期は「5年ごと」を推奨している点にあります。
(参考:国土交通省|マンション管理・再生ポータルサイト|Q&Aマンション管理について)
アクセスしやすい場所は、設備機器などの点検と併せて、さらにこまめに状態を確認するとより雨漏りのリスクを低減できます。
【重要】防水の長寿命化は定期的な建物調査が必須

屋上やバルコニーの防水層を長持ちさせるためには、定期的な建物調査が必須です。
専門家が劣化の有無を確認し、その補修における適切な工法の選定により、無駄な工事を減らせます。
工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水監理事業協同組合(関防協)へお気軽にご相談ください。
当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループです。
東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計190社以上の正会員がおります。
年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。
そのため、防水トラブルが心配な方は、お気軽に当会までご相談ください。
▶︎関防協とは
まとめ
マンションやビルの屋上に採用される「アスファルト防水」は、高耐久で長寿命な工法です。
ただし、劣化を見逃すと、雨漏りなど深刻な事態をもたらします。
そのため、マンション管理組合様やビルのオーナー様は、アスファルト防水の基本知識と工法別のメリット・デメリット、劣化サインを事前に把握しておくことが重要です。
「どこに連絡していいか分からない」という方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合のネットワークで信頼できる施工会社を探してみてください。


