屋上・陸屋根のアスファルト防水とは?工法や補修について解説

アルファルト防水はアスファルトを染み込ませた防水シートを貼り付ける工法で、実績が多い上に防水性が高いことが特徴です。

しかし、名前は聞いたことがあっても一体どのような防水工事なのかをご存じない方も多いかもしれません。また、実際に施工している現場を見たことがある方は少ないでしょう。そこで、今回はアスファルト防水工事について、メリット・デメリットや工法別特徴、改修についてなどを解説します。ご自宅や所有されている物件の屋上がアスファルト防水の方は、ぜひ参考にしてください。

 

アスファルト防水とはどんな工事?仕様は?

アスファルト防水は防水工事の中でも歴史が古く、最も信頼性のある工法です。溶かしたアスファルトとアスファルトルーフィングシートを重ね敷いて、強靭で水密性の高い防水層を形成します。積層されたアスファルトルーフィングは耐久性が高くメンテナンス周期が長いため、多くの公共施設や大型マンションなどに施工されています。ちなみに、防水施工後にコンクリートを打設する「コンクリート仕上げ」と、砂を吹き付けてあるシートで仕上げる「砂付けルーフィングシート仕上げ」があり、屋上の用途に応じて適切な方法を選択します。

 

熱工法

熱工法とは最も古くから施工されている方法で、溶解アスファルトとアスファルトルーフィングシートを併用します。通常は、二層以上塗り重ねることで密着性を高め、耐久性の高い防水層を形成します。短期間で固まるため、工期をコンパクトにしたい場合に用いられますが、近年は近隣へ煙・臭いを考慮して、他の工法を選択する場合も増えてきました。

トーチ工法

トーチ工法とは、不織布シートをアスファルトでコーティングした防水シート(改質アスファルトルーフィング)の裏面をトーチバーナー(ガスバーナー)で炙りながら貼り付ける方法です。現場でアスファルトを溶かす必要がなく、煙・臭いの影響を気にする必要がありません。「熱工法よりも防水性が劣る?」と考える方もいるかもしれませんが、シート同士を熱で結合させて水密性を高めるため、防水性はしっかりと確保できます。環境的観点からも、近年は標準仕様として用いられる工法です。ただし、ルーフィングシートが分厚いため、細かい加工が必要な場所への施工には適していません。

 

常温工法

その名の通り火を使わずに施工する方法で、別名・冷工法や自着工法、常温粘着工法とも言われています。ルーフィングシートにシールのようなゴムアスファルト粘着層があり、下地に貼り付けて防水層を形成します。熱工法やトーチ工法と比べても火気をほとんど使用しないため、密集地や狭小地や改修工事での施工がしやすく現場の安全管理についても有利で、仕上げの仕様によっては耐用年数が長いこともメリットです。ただし、施工費が他の工法よりも高いため、熱工法やトーチ工法と併用する場合もあります。

 

工法を選ぶポイントは?

まず大前提なのが、適切な工法を選ぶのは施工会社の役目であるため、お客様が工法を指定することはないでしょう。しかし、それぞれの特徴を理解しておくことで、施工前・中・後の打ち合わせがスムーズに進められます。ここでは、これまで紹介した3つの工法を比較してみましょう。

  特徴 工事場所 耐用年数
熱工法 古くから伝わるスタンダートな工法。ただし、アスファルトを現場で溶解するため、煙・臭いが発生する。 広くて障害物が少ない場所に適している。寒冷地で施工する場合は、気温を考慮しなくてはいけない。 15〜25年程度
トーチ工法 熱工法よりも安全性が高く常温工法よりも施工費が安いため、コスパに優れた工法。ただし、シートが厚くなるため、細かい部分や狭い場所、複雑な場所への施工は難しい。 広くて障害物が少ない場所に適している。細かい加工が必要な場所への施工は適しておらず、他の工法と併用する必要がある。 15〜20年程度
常温工法 現場では火気をほとんど使用しないため、環境面・安全面においてメリットが大きい工法。また、耐久性も高いため近年施工件数が増えている。ただし、施工費(材料費)は熱工法・トーチ工法より高い。 都心などの密集地や狭小地での施工に適している。 15〜25年

 

常温工法と熱工法の合わせ技!「ストライプ工法」とは?

ストライプ工法とは、ゴムアスファルト粘着層の先進技術と、伝統と信頼の熱工法がコラボしたハイブリッド型アスファルト防水です。

引用元:田島ルーフィング株式会社|冷熱併用工法「ストライプ工法」

常温工法(=冷工法)の強みと、熱工法の持つ耐久性を併用した最新工法で、1層目は裏面の粘着層で貼り付ける冷工法を用いて、2層目は溶融アスファルトを用いた熱工法によって防水層を形成します。公共建築工事標準仕様書(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修)では従来の熱工法と同等の性能であることを証明されているため、多くの病院や学校などでも採用されています。詳しくは下記サイトをご参照ください。

 

アスファルト防水にアスベストが含まれているって本当?

アスファルト防水について調べると「アスベスト」というキーワードが出てきます。アスベスト(石綿)は平成18年9月1日に改正された労働安全衛生法施行令により、今では全面使用禁止です。そのため、現時点で生産されているアスファルト防水の関連資材にはアスベストは一切含まれていません。しかし、既に施工されているものについては年数によって含まれているものもあります。改修で撤去する際には多額の処分費が掛かるため、事前に施工年数などを把握しておきましょう。

・アスベストを使用しているかの見分け方
防水層単独については昭和62年(1987年)以降、ポリウレタン系断熱材を併用した断熱防水層については平成3年(1991年)以降、ルーフコーチング類やアスファルト系接着剤については平成15年(2003年)以降に施工された建物であれば、アスベストは含まれていないか、0.1重量%未満であり石綿障害予防規則には該当しません。(以下略)

引用元:一般社団法人日本防水材料協会(JWMA)アスファルト防水部会|技術資料・環境対応(アスベストについて)

 

補修や改修の方法は?

アルファルト防水は防水工事の中でも耐久性が高い点が特徴ですが、もちろん補修や改修が必要ないというわけではありません。建物を正常に維持するためには定期的にメンテナンスすることが重要です。そのため、10〜15年に一度程度はプロによる外壁などを含めた総合的な建物診断を受けることをおすすめします。では、具体的にはどのような補修・改修方法があるのでしょうか?

かぶせ工法&撤去工法の違いは?再生工法とは?

屋上防水工事の改修方法には、主に「かぶせ工法」と「撤去工法」の2種類あります。従来は、既存防水層を撤去してその上から新たな防水層を形成する「撤去工法」が主流でした。しかし近年は、環境的・安全的配慮から既存防水層は撤去せずに上から新たな防水層を重ねる「かぶせ工法」のケースが増えてきています。

「撤去工法」のメリットは、新築時と同様の状態にしてから施工するため、仕上がりは新築と変わりません。しかし、廃材処分費がかかり工期中に雨が降れば雨漏りするリスクがあります。「かぶせ工法」のメリットは、撤去工事費用がかからず劣化した箇所だけ下地処理をするため下地工事費用も抑えられます。また、工事中に雨が降っても既存防水層でカバーできて安心です。かぶせ工法の中でも最近注目されているのが「再生工法」で、既存防水層が活きているうちに新たな防水層を上から重ねることで一体化させ、寿命を延ばします。ただし、かぶせ工法においても再生工法においても新規防水層分の負荷がかかるため、耐震性が十分ではない建物への施工には注意しなくてはいけません。

改修時期の目安や劣化サインは?

アスファルト防水は耐用年数が長い分、つい改修メンテナンスを忘れてしまったり劣化サインを見落としてしまうケースも少なくありません。しかし、補修しきれないほど劣化が進むと、コストも工期もかかってしまいます。そこで、改修時期を見極めるための劣化サインを紹介します。プロの定期診断を受けるだけではなく、日頃から異変がないか見ておくことをおすすめします。

まず、改修時期を見極めるポイントは「前回防水工事をしてからどのくらい経過しているか」という点です。一般的にアスファルト防水は工法問わず15〜20年程度で寿命を迎えます。そのため、新築から15年経過した時点もしくは前回の改修工事から同等の年月が経った時点でメンテンスを検討しましょう。しかし、立地条件や屋上の用途、使用頻度によって劣化速度は異なります。そのため、15年経過する前でも不具合が起こっていないか定期的にチェックしなくてはいけません。

主な劣化サインは、下の表の通りです。

  ◎熱 紫外線 アルカリ 鳥類
ふくれ(下地から)            
ふくれ(中間層から)            
損傷(穴あき・外傷)          
立上り入隅底部の浮き            
表面のひび割れ    
ルーフィング相互の接合部のはく離            
立上り部のずり落ち            
立上り端部のはく離・口あき              
防水層の破断(押え・下地のムーブメントによる)        
表層の減耗            
引用:国立研究開発法人・建築研究所|アスファルト防水の劣化要因と劣化現象の関係

日射による熱や紫外線、風雨、鳥類などその要因は様々で、立地条件によって重点的に気をつけなくてはいけない箇所が異なります。また、不具合によって美観を損なう程度なのか雨漏りの要因につながるものなのかによって緊急性に差が出ます。どちらにしても早めに対応することで防水層の寿命を延ばせるので、ぜひご自宅や所有物件についてどの劣化に気を配らなくてはいけないか、事前に認識しておきましょう。


アスファルト防水は部分補修できる?

結論からお話すると、アスファルト防水は部分補修ができます。主な部分補修例は次の通りです。

・押えコンクリートのひび割れやはく離
・伸縮目地の劣化(ひび割れやはく離)
・改質アスファルトシートの膨れ
・接合部の剥がれ

どれも劣化部分のみの補修は可能ですが、あくまでもそれ以外の箇所が正常かつ寿命が近くないということが条件になります。また、既に雨漏りしている場合は部分補修はできません。目先のメンテナンスコストを削減するために部分補修を繰り返すと、防水層がつぎはぎ状になり水密性は劣ります。そのため、ある程度耐用年数が近づいている場合には、まとまった費用はかかりますが部分補修ではなく全面改修を検討しましょう。


一般的な工程は?

防水工事は目に留まりやすい場所では行われないため、具体的な工程を知らない方も多いでしょう。そこで、一般的なアスファルト防水工事の工程を紹介します。全体の流れを知ることで、工事期間中の不便さを回避できたり、賃貸物件の場合は借り手の方とのトラブルを防げます。ぜひ、施工会社に任せきりにせずに、工期を大まかにでも理解しておきましょう。

仮設工事 ・養生及び足場設置
・清掃
(解体工事) 撤去工法のみ既存防水層の撤去(かぶせ工法は立上り部およびドレン廻り防水層のみ撤去)
下地工事 ・清掃
・不陸調整
・プライマー塗布
防水工事 ・アスファルトルーフィングの施工
仕上げ工事 ・改修用排水ドレンの設置
・トップコート塗布
仮設工事 ・養生及び足場撤去
・完了検査
・清掃

 

工事店はどうやって選ぶ?業者選びに困ったら関防協へご相談を!

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工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水監理事業協同組合(関防協)へお気軽にご相談ください。当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループです。東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計191社の正会員がおります(2019年11月時点)。また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。そのため、安心して防水トラブルについてご相談いただけます。当HPではマップ上での施工店検索もできるため、地域密着型の信頼できる業者をお探しの方は、ぜひご利用ください。また、下記コラムでは業者選びのポイントについて詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

 

まとめ|アスファルト防水は日々進化し続ける優れた防水方法

今回は、アスファルト防水工事について、メリット・デメリットや工法別特徴、改修についてなどを解説しました。従来の熱工法だけではなく、後から生まれた新工法も丈夫で高耐久の防水層を形成します。施工会社は、立地や形状によって一気に施工できる熱工法や、熱を一切出さない常温方法などを使い分けます。また、必要に応じて異なった工法を併用して施工する場合もあります。ですから、アスファルト防水の改修を検討している方は、大まかな特徴や工程を知っておくことで打ち合わせがスムーズに進みます。また、劣化のサインを把握しておけばプロの定点検以外にセルフチェックができ、より防水層が長持ちするでしょう。万が一劣化サインを見つけたり、耐用年数が迫っている場合は速やかにプロへ相談することをおすすめします。「どこに連絡していいか分からない」そんな方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合のネットワークで信頼できる工事店を探してみてください。都道府県別に登録業者を検索できるため、近くの工事店を簡単に見つけられます。少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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防水リフォーム工事を検討中の方におすすすめなのが、「サーモコントロール断熱改修」です。屋上からの熱気や冷気を防水層で軽減できる上に耐久性も高く、空調機器の使用量を減らすこともできるため、省エネという観点からも注目されています。実際に施工されたお客様の声も紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。