建物の“長寿命化”や“サスティナブル建築”とは?
環境に寄与できる屋上防水工事のあり方について解説

最近、テレビや新聞などで見ない日はないというほど私たちの生活に密接している「SDGs」ですが、建築分野においてもこれからの課題として注目されています。特に、既存建物の「長寿命化」が重要視されており、様々な企業や施工会社が技術革新に取り込んでいます。

その中でも、メンテナンスはその建物の状態を大きく左右する大きなポイントです。

しかし、実際にどのような方法で建物の寿命を長くできるかを知らない方が多いかもしれません。

そこで、今回は屋上防水に着目して、建物の寿命を延ばす方法について詳しく解説します。また、屋上防水で実現できるサスティナブルなアイデアも合わせて紹介しますので、ぜひアパートやテナントビルを所有している方は参考にしてください。

このコラムのポイント
・建物の長寿命化は、環境面でのメリットに止まらず、維持や建て替えにかかるコストも軽減できます。
・サスティナビリティを意識することで、その建物の社会的価値を高められます。
・関東防水管理協同組合では、高品質の防水施工を行う業者を紹介します。




公共施設からマンション・ビルなどの民間建築物へ広がる“長寿命化”

CREATOR: gd-jpeg v1.0 (using IJG JPEG v62), quality = 100

近年、環境保全の観点から様々な分野で「SDGs」がスローガンとして掲げられており、「持続可能な開発目標」を達成するため、建築業界でも考え方が大きく変化しつつあります。

その中でも特に注目されているのが、建物の「長寿命化」。今までのスクラップ&ビルドの考えではなく、既存住宅をメンテナンスしながら永続的に使い続ける取り組みが実施されています。

なぜなら、建物の建て替えには多量のエネルギーが消費され、建築廃材の再利用や、環境に配慮した処分はまだまだ未発達だからです。建築で使用するエネルギーを最小限に抑える省資源なストック型社会こそ、SDGs達成の近道であると期待が高まっています。


【建物“長寿命化”の変遷】

平成20年代に入ると、官庁施設の半数近くが築30年以上経過し、大規模修繕や設備機器の入れ替えが増えました。これら建物の老朽化改善を効率的に進めていくために、“長寿化”が推進され始めました。

平成21年に「長期優良住宅認定制度」が発足し、一般住宅(集合住宅含む)に関しても“長寿命化”が注目されました。これをきっかけに、それまでは公的施設が中心であった“長寿命化”の動きが一気に民間施設にも拡大し、既存の中小規模ビルやマンションについても、高いメンテナンス性やフレキシブル性が求められました。

現在では、新築・既存問わず“長寿命化”は重要なキーワードとなっており、その建物の価値を決める指標になりつつあります。


では、具体的には“長寿命化”するためにはどのようなポイントを押さえなくてはいけないのでしょうか。主なポイントは下の4つです。

  • 高耐久・高耐震の構造体
  • 定期点検の実施や計画的な補修プランの作成
  • 用途の変化に対応できるフレキシブルで改修しやすい平面計画
  • 建築履歴(メンテナンス履歴)の作成及び保存


この中でも、建築時の構造耐力を正常のまま維持することは最も重要で、そのためには小まめな補修は欠かせません。特に屋上防水のメンテナンスを怠り雨漏りが発生すると、確実に構造躯体へダメージを与えてしまいます。

つまり、建物の長寿命化を実現させるためには、防水改修はとても重要なポイントであることは間違い無いのです。


“長寿命化”はサスティナブル建築の実現にも貢献

サスティナブル(持続可能な)建築とは、設計・施工・活用(運用)全てのフェーズにおいて、環境への不可ができるだけ少なく、地域に溶け込む建築物を指します。

具体的な内容は以下の通りです。

  • 建物のライフサイクル全てにおいて、省エネルギー・省資源・資源の再利用・有害物排出抑制を心がけている。
  • 地域の環境や文化、伝統と調和している。
  • 未来に向けてその建物を利用する人の生活を維持または向上させることができる。


引用元:一般社団法人 日本建設業連合会|サステナブル建築を実現するための設計指針


長寿命化を目指すことはサスティナビリティに大きく貢献することとなり、建物を健全に保つだけではなく、その地域に親しまれる施設として長い間使い続けられます。また、世間へCSR(企業の社会的責任)をアピールする機会にもなり、大きな社会的意義も持ち合わせるのです。

〈関連コラム〉
下記コラムでは、建物の長寿命化についてさらに具体的に解説しています。是非合わせてご覧ください。

関東防水管理協同組合|コラム|これからの建物は“長寿命化”がカギに。ポイントから対策方法まで徹底解説



マンション・ビルを“長寿命化”するポイントは?屋上防水の耐用年数は延ばせる?

では、実際にマンションやビルを“長寿命化”させるためには、どのような方法をとればいいのでしょうか。また、特にキーポイントとなる屋上防水の耐用年数を延ばすことはできるのでしょうか。

ここでは、主な4つのポイントを紹介します。所有している建物の補修計画を立てる際には、ぜひこれらのポイントを踏まえてみてください。

その① 区分所有者やビル所有者の意思を明確にする

マンションやビルの場合、丸ごと1棟を一人のオーナーが所有している場合と、区分ごとに持ち主が分かれている場合があります。前者の場合は、オーナーの独断でメンテナンス計画を進めていくことができますが、後者の場合は意見の違いによってなかなか思うように補修できない場合も少なくありません。

いざ大規模改修工事をしたいとなっても、意見のすり合わせから始めては手遅れになる場合も想定できます。ですから、複数の所有者がいる建物の場合には、管理組合全体で補修計画を共有し、改修を行う際の区分所有者間における合意形成のフローを決めておきましょう。

所有者が一人の場合でも、その建物を「どのくらい保ちたいか」や、「いつどれほどのコストをかけて補修するか」などの目標や目安を定めておくことは重要です。

大事なのは、所有者・居住者・利用者が同じ方向を見てメンテナンス計画を進めていくということ。スローガンや目標を共有し、早めに計画を明確化しましょう。


その② 中長期保全計画を立てる

いくら定期的なメンテナンスや補修が必要と言っても、その資金がなければ実行できません。そのため、早い段階で長寿命化を見据えた中長期保全計画を立てましょう。それを基に、十分な修繕積立金を用意することも重要です。

また、テナントビルなどの場合は、コンバージョン(用途変更)も視野に入れて、長期的な計画を立てることもできます。近年では、空室が目立つオフィスビルと集合住宅に変える事例や、老朽化した集合住宅を老人介護施設や宿泊施設に変える事例も増えています。

このように、その建物の用途に捉われない保全計画も視野に入れましょう。

その③ 定期点検や補修を徹底する

中長期的な目標や保全計画はもちろん重要ですが、短期的な補修は欠かせません。雨漏りなどが発生してから対応すると、補修範囲が拡大しコストも増えてしまいます。

不具合を未然に防ぐためにも、定期点検の実施や劣化部位の早めの補修は徹底しましょう。また、屋上防水のトップコート塗り替えや、排水ドレンの清掃など、小まめな手入れも重要です。

〈関連コラム〉
屋上防水の改修方法についてさらに詳しく知りたい方は、下記コラムも合わせてご覧ください。

関東防水管理協同組合|コラム|屋上やベランダの防水はどうやって改修するの?改修方法などを徹底解説

その④ 耐久性の高い工法を取り入れる

定期的な点検は補修を繰り返すことは重要なことですが、予算や劣化度合いに応じで耐久性の高い工法に切り替えることも一つの方法です。

田島ルーフィングでは、アスファルト・塩ビシート・ウレタン塗膜防水等、各種防水材を取り扱う「総合防水材メーカー」であり、長寿命・高耐久仕様を取り揃えています。




屋上防水におけるサスティナブルな対策は?

サスティナブルを目標に掲げる場合、屋上防水についてはどのような方法が取れるのでしょうか。もちろん、建物自体の長寿命化が最低限実現しなくてはいけませんが、それに加えて周辺環境や地球環境に与える影響についても配慮しなくてはいけません。


環境負荷を抑制する取り組みの中で、身近なメリットが得られるのが「高日射反射防水塗料」や「屋上緑化」導入です。まず、高日射反射防水塗料を屋上に塗布することで、室内の空調効率が上がり、光熱費の削減につながります。

屋上緑化も同じような効果が得られるだけではなく、景観の向上やビルの社会的価値を高めることもできるため、中小規模ビルにも多く採用されています。

〈関連ページ〉
高日射反射防水塗料の詳細は、下記ページをご覧ください。

田島ルーフィング|保護塗料 ~SPシリーズ~

〈関連コラム〉
下記コラムでは屋上緑化のメリットについて、さらに詳しく解説しています。

関東防水管理協同組合|コラム|屋上緑化で室内環境が向上する?そのメリット・注意点やおすすめの工法を解説




まずは、関防協の「防水改修調査診断員」へご相談を

工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合(関防協)へまずはお気軽にご相談ください。当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計191社の正会員がおります(2019年11月時点)。また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。

当HPでは、防水改修調査診断員による無料診断も申し込みや、マップ上での施工店検索ができます。ぜひお気軽にご活用ください。




まとめ|屋上防水を見直して環境に優しい”長寿命化”を目指しましょう

今回は、屋上防水に着目して、建物を長寿命化することの重要性や、屋上防水を長持ちさせるポイント、サスティナブル社会へ貢献するための方法について解説しました。

本コラムで紹介した取り組みは、地球環境を守る上でとても重要です。ただし、メリットはそれだけには止まらず、長期的な補修費用を軽減でき建物の長く使い続けられるというコスト面での利点にもつながります。

長寿命化を目指すためにも、屋上を専門の施工会社に定期点検をしてもらうなど、常に劣化部位を見つけられるようにしておきましょう。

私たち関防協では、現状の建物調査も承っております。「信頼できる業者がわからない」そんな方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合のネットワークで信頼できる工事店を探してみてください。都道府県別に登録業者を検索できるため、近くの工事店を簡単に見つけられます。少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。



運営者情報

関東防水管理事業協同組合事務局

関東防水管理事業協同組合事務局

建設防水業界トップシェアの田島ルーフィングが主催する、改修工事に特化した工事店ネットワーク。
日々進化する防水工法や現場のニーズに合わせた最適な対応を行うため、施工技術者の育成にも取り組んでいます。
当サイトでは、マンションなどの一般住宅から店舗、大型ビルなど、さまざまな現場を見てきた防水のプロが豊富な知識と経験を活かして防水工事についてわかりやすく解説します。

主な資格
建築士 コンクリート診断士 宅地建物取引士 防水改修調査員

関防協(関東防水管理事業協同組合)について