屋上・ベランダ防水は補修で蘇る?工法別の補修方法について詳しく解説

本格的な梅雨シーズンを控え、雨漏りが心配になる人も多いでしょう。屋上やベランダの防水を健全な状態で保つためには、何よりも「定期的な補修」が大切です。しかし、具体的には何をいつしたらいいか分からない人も少なくありません。

そこで、今回は屋上やベランダの防水を長持ちさせるために必要な“補修”についてお話しします。ご自宅や所有している建物の防水が気になる人は、ぜひ参考にしてください。

このコラムのポイント
・定期的な点検によって劣化サインを小まめに見つけ、適切な補修をすることこそが、建物を長持ちさせるポイントです。
・工法によって補修方法が異なるため、プロにしっかり診断してもらうことも重要です。
・既存防水層を撤去しない「かぶせ工法」もおすすめです。




防水層を正常に保つには何よりも「補修」が重要

マスキングテープ

建物を正常な状態で維持していくためには、各部のメンテナンスは欠かせません。その中でも、屋上防水やベランダ防水は、最も重要と言っても過言ではないでしょう。なぜなら、木造・鉄筋コクリード造など構造の種類を問わず、「雨漏り」は最大の敵だからです。

少量の雨漏りですと室内までは露呈せず、気が付かない間に構造躯体にまで侵食して耐久性を下げてしまいます。こうなると、かなり大掛かりな補修工事が必要になり、コスト面だけではなく生活そのものに支障をきたしかねません。

そのため、日頃から定期点検を行い、劣化が軽微なうちにこまめに補修することが重要です。「メンテナンスや点検費用がしょっちゅう発生しては困る」と思う人もいますが、長期的に見れば大規模修繕費用を削減できるというメリットが得られます。

また、賃貸集合住宅やテナントビルなどの収益物件については、こまめに補修されていることで資産価値が高いと判断されるため、将来的に売却を検討している場合にも有利でしょう。

つまり、建物の防水層に限らず建物の長期間正常な状態で保つためには、何よりも「補修」がキーポイントとなるのです。


工法別の劣化サインと補修方法

屋上やベランダの防水層にはいくつかの種類があり、それぞれ標準耐用年数が異なります。

〈防水工法〉〈標準耐用年数〉
ウレタン塗膜防水10年
シート防水13年
アスファルト防水押さえコンクリート:17年
露出:13年
(国土交通省総合技術開発プロジェクト「建築物の耐久性向上技術の開発」より抜粋)


しかし、これらの標準耐用年数は、立地条件や日頃のメンテナンス状態によって短くも長くもなります。例えば、紫外線を直に受けやすい場所では劣化スピードが早まりますし、定期点検を怠りこまめな補修をしていないと標準耐用年数を迎えることなく雨漏りしてしまう可能性もあります。

そこで、ここでは工法別に劣化のサインやその対処方法、メンテナンス方法について詳しく解説します。


ウレタン塗膜防水

ウレタン防水

〈劣化サイン〉

トップコートの風化

ウレタン塗膜防水の表面を保護するトップコートは、紫外線や風雨に長期間晒されると、徐々に風化してします。手で触れて粉化した塗料が付くと劣化した証拠です(チョーキング現象)。放置すればその下の防水層そのものの劣化を引き起こします。

塗膜の剥がれや摩耗

よく歩行する場所や空調室外機を置いている場所など、負荷が多い場所は塗膜が剥がれたり磨り減ったりします。防水層の性能が落ちるため、そのままにしては危険です。

塗膜の膨れ

防水層に既に小さな亀裂やヒビがある場合、そこから侵入した水分が日光などによって熱されて防水層が風船状に膨らんでしまいます。放置すれば大きな剥がれを引き起こします。

塗膜の大きなひび割れや破断

小さな剥がれや膨れなどを放置すると、表面のコーティング層だけではなく防水塗膜そのものが剥がれ落ちたり、深いヒビが生じてしまいます。こうなると、雨水などが防水層の下まで侵入するのに、それほど時間がかかりません。

水たまり・コケや藻の発生

屋上やベランダに水たまりがあったり、コケや藻が生えて常に湿っている場所があると、防水塗膜が膨潤劣化(加水分解)を起こします。これは、常に水に触れ続けることで、防水塗膜に含まれるウレタンなどが変質して分解されてしまう現象を言います。表面がベトベトになるだけではなく、防水層として機能しなくなります。

〈補修方法〉

軽微な劣化であれば、トップコートの再塗装で補修できますが、塗膜の膨れや大きなひび割れ、破断、剥がれなどは防水層からの塗り替えや根本的な補修が必要になります。ただし、早いうちに発見できて下地にまで影響がない場合には、部分的な作業も可能です。

水たまりがある場合には、屋上やベランダの床勾配(傾斜)に問題がある場合もあるため、下地からやりかえなくてはいけない可能性もあります。コケや藻は、水たまり部分だけではなく、水が溜まりやすい排水口周りにも発生しやすいため、こまめに清掃するなどのお手入れは欠かせません。


〈関連コラム〉
下記コラムでは、ウレタン塗膜防水の劣化についてさらに詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。

関東防水管理協同組合|コラム|ウレタン防水とは?工法&工期・メンテナンスについて徹底解説

シート防水

〈劣化サイン〉

シートの破断

鋭利なものがぶつかったり、重いものを落としたりすると、防水シートが局部的に破れてしまいます。屋上ですと、鳥につつかれたことによる場合もあります。このままでは防水層としての機能は果たせず、水が直接侵入してしまいます。

シートの硬化や収縮

経年劣化によってシートが硬化したり収縮すると、徐々に継ぎ目が開き、最終的には剥離してしまいます。そうなると、破断と同様、水が侵入しやすい状態になります。

シートジョイント部の劣化

シートのつなぎ目が劣化すると、そこから口が開いて剥離してしまいます。特に、パラペットなど立ち上がり部分は、劣化が早いため注意が必要です。

シートのしわやヨレ

シートが収縮すると、徐々に密着性が落ちてしわやヨレが発生します。この状態で放置すると、シートの耐久性が落ちて剥離は破断を引き起こします。

水たまり・コケや藻の発生

屋上やベランダに水たまりがあったり、コケや藻が生えて常に湿っている場所があると、防水層の劣化スピードが早まってしまいます。特に、排水溝周りには注意しましょう。

〈補修方法〉

シートの浮きや剥離、ジョイント部の口開きが進行していると、防水層からのやりかえや根本的な補修が必要になります。部分的な作業も可能ですが、シートの“切り貼り”箇所が増えれば増えるほど、今後雨漏りのリスクは上がってしまいます。施工後の経過年数によっては、全体的なやりかえを検討した方が良いでしょう。

水たまりがある場合には、屋上やベランダの床勾配(傾斜)に問題がある場合もあるため、下地からやりかえなくてはいけない可能性もあります。コケや藻は、水たまり部分だけではなく、水が溜まりやすい排水口周りにも発生しやすいため、こまめに清掃するなどのお手入れは欠かせません。また、排水口周りは防水層へのダメージが大きいため、適宜改修用ドレンを設置することをおすすめします。

引用:田島ルーフィング|ドレン
一口メモ
防水改修工事では、防水の要所を確実に処理することが重要です。塩ビ製改修用ドレン「VTドレン」は、既存ドレンの上からかぶせて設置することで、ドレン防水端部の確実な納まりを実現します。



〈関連コラム〉
下記コラムでは、シート防水の劣化についてさらに詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。

関東防水管理協同組合|コラム|シート防水とは?工法&工期の種類や補修方法について徹底解説


アスファルト防水(露出仕上げ)

〈劣化サイン〉

防水層表面の砂落ち

露出アスファルト防水は、最上層が砂付き仕上げとなっていますが、経年劣化によって”砂落ち”現象が発生します。砂落ちが進行すると、アスファルトルーフィング基材の露出等に繋がるため、保護塗料塗り替え等のメンテナンスが必要です。

ジョイント部の口開き

アスファルト防水層ジョイント部(重ね部)に劣化による“口開き”が発生した場合には、薄い侵入元となるため、早急な補修が必要です。

③ 防水層のふくれ

防水層の膨れ発生要因は、空気が溜まっているものと雨水が侵入している状態があります。後者の場合には、足で踏んだ際に水枕のようになっており、早急に切開補修を行わなくてはいけません。

防水立上がり端末金物上部のシーリング材劣化

防水層立上がり端末を押さえている金物上部には、シーリング材が充填されています。このシーリング材に亀裂や破断等が見られる場合は、防水改修時期の目安となります。

〈補修方法〉

露出アスファルト防水層の膨れやジョイント部の口開きについては、部分的な補修が可能です。しかし、補修範囲が全体の1/4以上に見られる場合や、防水改修を行わずに13年以上経っている場合は、全面改修工事の時期に来ていると言えます。

アスファルト防水は大規模建築物にも多く採用されていることから、日々高性能高耐久な工法が開発されています。補修をきっかけに、より長寿命な工法へ切り替えることも検討してみてください。

〈関連コラム〉
下記コラムでは、アスファルト防水の劣化についてさらに詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。

関東防水管理協同組合|コラム|屋上・陸屋根のアスファルト防水とは?工法や補修について解説

〈関連ページ〉
下記ページでは、最新のアスファルト防水工法について詳しく解説されています。

田島ルーフィング|屋上防水とは


最近注目の「かぶせ工法」も

ウレタン防水

通常、防水工事をする際には、材料も去ることながら、どのような方法で改修するかもポイントになります。

30年以上前は、既存防水層を全て撤去して新たにやりかえる「撤去工法」が主流でしたが、近年は既存防水層は残してその上から新たな防水層を形成する「かぶせ工法(非撤去工法)」が多く実施されています。そのメリットは下の4点です。

  • 撤去に要する工期やコストがいらない。
  • 撤去時の騒音や振動、周りへのホコリ飛散がない。
  • 既存防水層の機能も残せる。
  • 産業廃棄物の量を格段に減らせて、環境に優しい。


コストや工期などオーナー様への負担が抑えられるだけではなく、建物利用者や周辺環境への負荷も少なく、さらには環境にも配慮できる優れた工法です。ただし、既存の劣化状況によっては適応できない場合もあります。

「かぶせ工法」による防水改修に興味のある方は、ぜひ私たち“関防協”へお問い合わせください。

〈関連ページ〉
下記ページでは、かぶせ工法のより詳しい情報や問い合わせ先を紹介しています。興味のある方は、ぜひご覧ください。

関東防水管理協同組合|防水改修3工法の比較


DIYの防水補修は可能?メリット・デメリットは?

通常の塗装工事の場合はDIYでご自身で補修を試みる人も少なくありません。

しかし、防水工事の場合は軽はずみに手をつけてしまうと、取り返しのつかないことになる可能性もあります。

  • 既存防水材と相性の悪い材料を使って、被害が拡大してしまう。
  • メーカーが指定した塗布量や塗膜暑さが作れずに、防水能力を確保できない。
  • DIYで補修したために、その後ハウスメーカーや施工店からの施工保証が受けられなくなった。 …


防水工事は、防水施工技師という国家資格があるほど、専門的な知識や技術を要します。また、密着性や耐久性に優れた2液タイプのウレタン塗膜防水材は、攪拌機などの専用工具が必要であるため、一般の方の取り扱いが非常に難しいです。

現状どのような材料が使われているかや劣化度合いを十分理解しなくてはならないため、安易に手をつけるのはリスクは高いです。

ですから、まずはプロにしっかりと診断をしてもらい、適切な処置を取ってもらいましょう。確かにある程度のコストはかかりますが、耐久性や施工レベルの観点からも、長期的に考えると損はありません。


工事店やメーカーはどうやって選ぶ?

工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合(関防協)へまずはお気軽にご相談ください。当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計191社の正会員がおります(2019年11月時点)。また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。

当HPでは、防水改修調査診断員による無料診断も申し込みや、マップ上での施工店検索ができます。ぜひお気軽にご活用ください。




まとめ|定期的な補修は“長持ち”の秘訣です

今回は、屋上やベランダ防水について“補修”の重要性についてお話ししました。定期点検は小まめな補修をコストを気にするあまり怠ってしまうと、どんどん劣化は進んでしまいます。すると、雨漏りなどの被害範囲が広がって、多額な改修費用が発生し、後悔することも多いです。

手遅れにならないように、専門の施工会社に定期点検をしてもらうなど、常に劣化部位を見つけられるようにしておきましょう。


私たち関防協では、現状の建物調査も承っております。「信頼できる業者がわからない」そんな方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合のネットワークで信頼できる工事店を探してみてください。都道府県別に登録業者を検索できるため、近くの工事店を簡単に見つけられます。少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。