プロは“雨漏り診断”の時にどこを見る?RC造・S造の診断内容やチェックポイントを解説

雨漏り診断

住宅やビルなど大きさや構造を問わず、雨漏りは建物にとって最大の“敵”です。防水機能が正常でないと、建物全体に水が回って劣化を急激に早めてしまいます。

ですから、多くの人がお住まいなどの“雨漏り診断”について、一度は検討したことがあるでしょう。

しかし、一体何をチェックするのか、どんな会社に頼めばいいのかを知らない方は少なくないはずです。

そこで、今回は“雨漏り診断”の診断方法やチェック項目について紹介します。ご自身でできるセルフ診断についても解説しますので、ご自宅や所有不動産の防水が気になる人は、ぜひ参考にしてください。

このコラムのポイント
●“雨漏り診断”は、雨漏りが起きてからでは手遅れの場合や大掛かりな修繕工事が必要になる場合も。
●建物の構造によって、診断内容が異なるため、プロの視点でしっかりチェックしてもらうことが重要です。
●無理のない範囲で、定期的なセルフチェックを行うのもおすすめです。




「あれ?」と思ったら手遅れの場合も

雨漏り

雨漏りは「室内に水が侵入していなければまだそれほどひどくない」と勘違いする人も少なくありません。しかし、実は天井などから雨水が染み出してきたりポタポタと落ちてくる段階ですと、かなり雨漏りは進行してしまっています。

被害は室内だけでは留まらず構造体にまで及んでいる可能性もあるため、ここまでくるとかなり大掛かりな補修工事を要します。

そのため、浸水などの不具合がない状態でも、待機的に雨漏り診断を依頼することはとても重要で、最低でも10年に一度は定期的に受診しましょう。

ただし、下のような不安を持つ人もすくなくないはずです。

  • 業者がたくさんありすぎて、どこに相談すればいいか判断できない
  • 家のどこを見られるか心配
  • そもそも自分で診断できないのか …


そこで、構造別の診断方法やセルフチェックについて詳しく解説します。事前に診断方法などを知っておくことで、きっと不安の大部分が払拭されるはずです。



雨漏り診断の方法は?建物や構造によって方法は異なる?

建物診断

建物の構造によって屋根形状や防水の工法、雨漏りの症状が違うため、雨漏り診断の内容や方法は異なります。そこで、ここでは中規模ビルや集合住宅で一般的に取り入れられているRC(鉄筋コンクリート造)、S造(鉄骨造)の場合を解説します。


〈診断方法〉

① 目視診断

建物の下から外壁を確認したり、実際に屋上や屋根、ベランダなどに登って状態をチェックします。基本的には木造住宅などと同様ですが、3階以上の場合は下からの目視が難しいため、外階段やベランダなどにも入り、上層部もくまなくチェックします。特にRC造で深くて幅の広い「構造クラック」が複数発生している場合は、地盤の不陸など雨漏り以上に深刻な問題がある場合もあるため、その点も診断ポイントです。必要に応じて、クラックスケールと呼ばれるひび割れ幅を測定するツールも使います。

クラックスケール
引用:モノタロウ

② 打診

木造と同様に、打診棒(打診ハンマー)を用います。壁だけではなく屋上などの床面も打診して、その反響音によって内部に隙間がないか識別します。

③ 触診

木造の場合と同様に、防水層や各部コーキング目地の弾力性をチェックします。特にS造はALCパネルの継ぎ目など、外壁周りに多くのコーキングを施しており、その全体的な劣化が雨漏りの原因に直結しかねないため、入念な診断が必要です。また、塗膜の劣化は美観を損ねため、やはりチョーキングチェックは欠かせません。

④ その他特殊診断(オプション)

RC造の場合は、「コンクリートの中性化」診断を行う場合があります。これは、躯体や仕上げコンクリートの風化度合いを判断するもので、元々アルカリ性のコンクリートが紫外線や雨の影響で中性化していないかチェックします。中性化が進むと耐久性が損なわれるため、特に築年数の古い建物で実施されます。(コンクリートを一部解体・サンプリング)



〈主な診断場所〉

屋上ベランダ

まずは陸屋根や屋上の防水に劣化がないかをチェックします。また、排水口の詰まり、手すり・パラペットの劣化などがないかや、苔や藻が発生していないかもポイントです。室内を診断スタッフが通って屋上まで行かなくてはいけないので、賃貸物件の場合は借り手の方への事前説明が必須です。

外壁

まだ現状雨漏りがしていない場合には、目視での診断となります。そのため、1階部など下から手に届く範囲で作業をするため、室内へお邪魔するケースは少ないです。ただし、明らかにクラックなどの劣化があり、そこが2階以上の場合には、ハシゴによる高所診断や室内を通ってベランダや下屋に上がり診断する場合もあります。

外壁の開口部周り
サイディングの目地

窓サッシやドア周りには必ずコーキング処理が施されているため、そちらも目視や触診によってチェックします。外壁がALCパネル仕上げの場合は、パネルの継ぎ目や取り合い部なども確認します。ただし、全箇所をチェックする訳ではなく、特に劣化がひどい場所や直射日光・雨風が当たりやすい場所を中心に診断します。

その他細部の取り合い

外壁に取り付けられた換気口周りや、屋上パラペット周り、看板の設置部分など、雨漏りを引き起こす場所はこのような小さい取り合い部分の可能性もあります。

室内(既に雨漏りしている場合のみ)

既に室内にまで雨漏りが進行している場合は、その原因を突き止めるために内部もチェックします。必要であれば、内壁を一部解体して詳細を見る場合もあるため、時間がかかる場合もあります。賃貸物件の場合は、荷物移動などが伴ったり借り手の生活や業務に支障をきたす場合もあるため、その点は十分打ち合わせしておきましょう。



〈関連コラム〉
下記コラムでは、防水に関する専門用語について詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。

関東防水管理協同組合|コラム|大規模修繕工事を検討中の方“必見” 防水工事に関する「用語集」




セルフチェックはできる?自分で診断する時の注意点やポイントは?

チェックリスト

雨漏り診断はどうしても建物の中を見ず知らずの診断スタッフが出入りするため、「面倒」「心配」「億劫」という人は少なくないでしょう。また、「診断してもらったら絶対依頼しなくてはいけない」と思う人も多いはずです。

そのため、まずはセルフチェックで緊急性があるかを確かめたいと考えるかもしれません。

実は、雨漏り診断はセルフチェックができます。ただし、足場が必要ない場所で目視診断できる場所に限ります。高い場所へ無理して登って事故になっては大変危険ですし、打診は触診は特別な知識や感覚、経験が必要になるからです。あくまで「無理なく」できる範囲のみをセルフチェックして、まずは緊急で補修が必要などうかを見極めましょう。

その際の主なチェックポイントは下の通りです。

外壁

  • 大小限らずクラック(ひび割れ)が発生していないか
  • 塗装面がチョーキングしていないか
  • タイルが剥がれ落ちていないか
  • ALCパネルやサイディングが欠損していないか …

屋上・ベランダ

  • 防水が剥がれたり膨らんだりしていないか
  • 防水層表面にひび割れはないか
  • 排水口が詰まったりオーバーフローしてないか
  • パラペットは手すりが錆びていないか、周りのコーキングが剥がれていないか
  • 防水床面に苔や藻が生えていないか、水溜りばできていないか
  • 雑草が生えて防水層を破っていないか
  • 防水塗料が硬化不良(ベタベタ)を起こしていないか …

屋根

  • 屋根塗装が剥がれていないか、苔や藻、カビが発生していないか
  • 屋根瓦が破損したり脱落していないか
  • 雨樋に木の葉などが溜まっていないか

各部コーキング

  • 弾力(弾性)を失っていないか
  • 固くなり痩せていないか
  • 細かいヒビが全体的に入っていないか
  • 剥がれ落ちていないか
  • 壁などとの接着部分が肌分かれしていないか
  • 硬化不良(ベタベタ)を起こしていないか…

その他

  • 鉄部の塗装が剥げいないか、錆が発生していないか
  • 室内の天井や壁に雨染みがないか
  • 室内の窓周り壁などにカビが発生していないか …


これらのポイントを重点的にチェックして、複数当てはまる場合は速やかに専門業者へ本格的な雨漏り診断を依頼することをおすすめします。



関防協は、防水工事の「エキスパート集団」です。

工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合(関防協)へまずはお気軽にご相談ください。当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計191社の正会員がおります(2019年11月時点)。また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。

「雨漏り診断をどこに依頼すれば分からない」「信頼できる施工会社の選び方が分からない」そんな方は関東防水管理事業協同組合へご相談ください。

当HPでは、防水改修調査診断員による無料診断も申し込みや、マップ上での施工店検索ができます




まとめ|建物を長寿命化させるためにも、定期的な“雨漏り診断”を

今回は、建物の“雨漏り診断”について紹介しました。「雨漏りが起きてから手配すればいい」「うちは大規模修繕工事をしたから心配ない」と考える人もいるかもしれませんが、経年劣化以外にも雨漏りの原因となる現象はありますし、雨漏りが起きてから診断を手配しては手遅れになる可能性は否めません。

ですから、建物の寿命を少しでも延ばすためにも、定期的な建物診断をすることがおすすめです。早めに劣化部位を見つけて対処することで、建物の維持コストも削減できます。


私たち関防協では、現状の建物調査も承っております。「信頼できる業者がわからない」そんな方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合のネットワークで信頼できる工事店を探してみてください。都道府県別に登録業者を検索できるため、近くの工事店を簡単に見つけられます。少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。