アスファルト防水の改修にウレタン防水は施工できる?費用・工法・注意点を解説
屋上のアスファルト防水の改修に、どの工法を選ぶべきか迷われている方も多いのではないでしょうか。
ウレタン防水は近年採用されることの多い工法ですが「アスファルト防水の上に施工できるのか」と疑問に思う方もいらっしゃいます。
本記事では、アスファルト防水からウレタン防水への改修が可能な条件や施工方法、各防水工法の特徴や耐用年数、コストなどを詳しく解説します。
改修すべき劣化症状や工事の流れも紹介するので、防水改修計画の参考にしてください。
・ウレタン防水は軽量で施工性が良く防水層の伸縮性に優れていますが、耐用年数や耐候性を考慮して工法選定が必要です。
・防水層の劣化症状に適した防水工法の選定が、建物の資産価値を守ることにつながります。
Contents
アスファルト防水の改修にウレタン防水は”条件付き”で可能
アスファルト防水からウレタン防水への改修は条件によって施工できるか異なります。
アスファルト防水押さえコンクリート仕上げの場合は、コンクリート面が安定した下地となるため、ウレタン防水への改修が比較的容易です。
一方、アスファルト防水露出仕上げの場合は、アスファルト防水の状態や劣化具合によって施工できないケースがあります。
アスファルトの油分がウレタン防水材の接着を妨げるため、専門業者による事前調査が欠かせません。
露出仕上げ・押さえコンクリート仕上げの違い
アスファルト防水の仕上げ方法には「露出仕上げ」と「押さえコンクリート仕上げ」の2種類あります。
【露出仕上げ】
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アスファルト防水層が直接紫外線や風雨にさらされる仕様。
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仕上げ材に砂付きルーフィングなどを用いて表面を保護する。
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軽量で施工が比較的容易な反面、紫外線による劣化が進みやすく、防水層が露出しているため傷つきやすい。
【押さえコンクリート仕上げ】
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アスファルト防水層の上にコンクリートを施工して保護する仕様。
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防水層が紫外線や衝撃から守られるため耐久性が高く、歩行用途に適している。
アスファルト防水の種類によって改修方法や費用が大きく変わるため、採用されている防水仕様を確認しましょう。
押さえコンクリート仕上げとアスファルト露出防水の違いについて、こちらで詳しく解説しています。
アスファルト防水とウレタン防水の相性と注意点
アスファルトに含まれる油分が、ウレタン防水材の硬化や接着の不良を引き起こします。
そのため、アスファルト防水露出仕上げをウレタン防水で改修する場合には、下地処理も兼ねた専用工法を選定する必要があります。
ウレタン防水と他の工法を比較
防水改修を検討する前に、ウレタン防水、アスファルト防水、シート防水の特性を把握しましょう。
ウレタン防水
ウレタン防水は液体状の材料を塗布して防水層を形成する工法です。
複雑な形状にも対応しやすく、継ぎ目がない一体成形の防水層を作れる点が特徴で、耐用年数は約10年が目安です。
施工費用が比較的安価ですが、工法や仕様によって価格差があります。
軽量で既存の防水層への負担が少なく、改修工事に適しています。
アスファルト防水
アスファルト防水は溶融アスファルトを複数層に塗り重ねる工法で、防水性能の高さと実績の豊富さが特徴です。
耐用年数は露出仕上げで19~29年、押さえコンクリート仕上げで26~38年と、長期間にわたり防水効果が持続します。
防水層が厚く、耐久性に優れているため、長期間の防水性能を期待できます。
シート防水
シート防水は工場で製造された防水シートを施工する工法で、均一な品質が確保しやすく、施工期間が短い点が特徴です。
耐用年数は13年が目安ですが、材質によって耐久性や価格が異なります。
施工が比較的簡単で工期が短いため、平坦な屋上であればコストを抑えられるケースがあります。
アスファルト防水からウレタン防水への改修手順
アスファルト防水からウレタン防水への改修は、防水層の状態に応じて「かぶせ工法」と「撤去工法」の2つから選べます。
アスファルトパネル(バリボード)によるかぶせ工法
ここでは、アスファルトパネルを用いたかぶせ工法についてご紹介します。
アスファルトパネル工法は、既存のアスファルト防水層を残したまま、厚さ4mmのアスファルトパネルを貼り付けた上に新しいウレタン防水層を施工する方法です。
既存下地の補修(樹脂モルタル塗布・浮き部処理など)が少なくて済むメリットがあります。
アスファルトパネル工法の流れは、以下の通りです。
- 下地処理・清掃:既存アスファルト防水層の浮き・膨れ・剥離を確認・下地補修し、高圧洗浄で表面の汚れやホコリを取り除く
- アスファルトパネルの設置:既存アスファルトにアスファルトパネルを専用の接着剤で貼り付ける
- 通気緩衝シート施工:既存のアスファルト防水層下地から発生する水蒸気による影響を軽減するため、アスファルトパネルに通気緩衝シートを貼り付ける
- ウレタン防水材の塗布:複数回に分けて薄く塗布し、均一で強固な防水層を形成する
- トップコート塗布:紫外線から防水層を保護し耐久性を向上させる
アスファルト防水の”撤去工法”とは
撤去工法は、既存のアスファルト防水層を撤去して、新しいウレタン防水を施工する方法です。
根本的な改修が可能ですが、工期や費用が増加します。
既存防水層の劣化が著しい場合や、下地まで劣化が進んでいる場合には撤去工法が採用されます。
アスファルト防水層の撤去により、隠れていた下地の損傷も発見・修復でき、より確実な防水改修が可能です。
アスファルト防水の撤去工法について、こちらの記事で詳しく解説しています。
改修すべきアスファルト防水の劣化症状
アスファルト防水の仕上げ方法によって現れる劣化症状は異なります。
点検時に以下のような症状が見られたら、改修を検討しましょう。
露出仕上げの場合|ひび割れ、膨れ、水たまりなど
- ひび割れ:紫外線や温度変化による経年劣化の代表的な症状。細かいひび割れから始まり、放置すると徐々に拡大し、雨水の侵入経路になる。
- 膨れ:防水層内または下地との間に水分や空気が溜まると発生する。膨れが破れると雨水が侵入する原因になる。
- 水たまり:防水層のたわみや下地の凹凸により発生する。常に水が溜まった状態は防水層の劣化を早め、藻やコケの発生原因ともなり、他の劣化症状を引き起こす可能性がある。
押さえコンクリート仕上げの場合|ひび割れ・浮き、排水不良、雑草など
押さえコンクリート仕上げでは、コンクリート表面に現れる症状から防水層の劣化を判断します。
- コンクリートのひび割れ・浮き:ひび割れの幅が広い、または複数箇所に見られる場合は注意が必要。コンクリートを叩いた時に軽い音がする部分は、浮きが発生しているサイン。
- 水たまり:排水がうまくいかず水たまりができると、防水層が長期間濡れた状態になり、劣化を早める原因になる。
- 雑草やコケの発生:雑草の根が成長するとコンクリートにひび割れを生じさせ、防水層を破る恐れがある。
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