アスファルト防水の種類と工法の違い|事前に知っておきたい注意点や劣化のサイン

マンションやビルの屋上メンテナンスにおいて、100年以上の歴史があり、優れた耐久性を持つ「アスファルト防水」は、古くから信頼されている工法の1つです。
しかし、熱工法やトーチ工法など種類が多いため、物件に最適な手法が分からずお悩みの管理者の方も少なくありません。
本記事では、各工法の具体的な特徴や施工時の注意点、見逃せない劣化のサインをわかりやすく解説します。
種類の違いを正しく理解し、大切な資産を守るための適切なメンテナンス計画にお役立てください。
コラムのポイント
・施工方法は「熱工法・トーチ工法・常温粘着工法」の3種類があり、建物の立地や周囲の環境に合わせて選択できます。
・継ぎ目の剥がれやふくれなどの劣化サインの早期発見によって、修繕コストの低減につながります。
Contents
アスファルト防水とは

アスファルト防水熱工法は、溶融アスファルトを複数層に塗り重ねて厚い防水層を作る工法です。
100年以上の歴史があり、水を通さない性能が高いことで知られています。
現在は、ポリマーを混ぜて柔軟性と耐久性を高めた「改質アスファルト防水」が主流です。
【改質アスファルトシート防水の特徴】
- 圧倒的な耐久性と水密性:ポリマー改質により柔軟性と破断強度が向上。地震などの建物への挙動にも追従し、長期にわたって漏水を防ぐ(期待耐用年数は15〜20年程度)。
- 現場に合わせた柔軟な工法選択:火気を使用する「トーチ工法」や、粘着層付きシートで施工する「常温粘着工法」など、周囲の環境や建物の構造に合わせて施工方法を選べる。
- 厚みによる安心感:他の防水工法に比べ、防水層を厚く何層にも施工するため、物理的な損傷にも強いのが特徴。
アスファルト防水の種類と工法別の特徴

アスファルト防水は、建物の構造や周辺環境・コスト・耐久性への要望に合わせて最適な工法を選択することが大切です。
ここでは、代表的な以下3つの工法について解説します。
- 熱工法
- トーチ工法
- 常温粘着工法
熱工法
溶融釜で熱した液状のアスファルトを使用し、ルーフィング(防水シート)を複数枚交互に貼り合わせる工法です。
- メリット:液体が隙間なく行き渡るため水密性が極めて高く、施工直後から硬化が始まるため工期が安定する。
- 注意点:施工中に独特の臭いと煙が発生するため、近隣住宅への配慮が必要。
トーチ工法
改質アスファルトシートの裏面を、トーチ(大型のガスバーナー)で炙りながら貼り付ける工法です。
- メリット:溶融釜などの大型設備が不要で、狭い現場でも施工可能。シート同士を熱で一体化させるため、継ぎ目の強度が非常に高い。
- 注意点:現場で火気を使用するため、火災予防の徹底が求められる。
常温粘着工法
裏面に粘着剤がついた改質アスファルトシートを、シールのように下地に貼り付ける工法です。
- メリット:火気を使わず、煙や臭いも発生しない。病院・学校など、環境への配慮が最優先される現場に適している。
- 注意点:他の工法に比べ、気温が低い時期の施工には粘着力を確保するための工夫が必要。
下地への固定方式の違い
下地への固定方法は、建物の状態に合わせて選ぶ必要があり、特に湿気への対策が分かれ道となります。
| 項目 | 密着工法 | 通気工法 |
|---|---|---|
| 概要 | 下地に直接防水層を貼り付ける、一般的な方式 | 下地と防水層の間に部分粘着層付きシートなどを挟み、部分的に密着させる方式 |
| 特徴 | 防水層が下地と一体化するため、水密性に優れている | 下地に含まれる水分が蒸気になっても、シートの隙間を通って「脱気筒」から外部へ逃がすことができ、「ふくれ」現象を防ぐ |
| 向いているケース | 改修物件で、既存防水層の劣化が少ない場合に適している | コンクリート・モルタル下地など、含有水分が多い場合に適している |
通気工法において、防水層のふくれを防ぐために欠かせないのが「脱気筒」です。
脱気筒の仕組みや重要性について、こちらで詳しく解説しています。
露出工法と保護工法の違い
仕上げの方法によって、将来のメンテナンス周期や屋上の使い勝手が大きく変わります。
【露出工法】
防水シートが一番上の表面に見えている状態です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 初期費用を抑えられ、万が一の漏水時も原因箇所の特定と補修が容易。 |
| デメリット | 紫外線や雨風に直接さらされるため、定期的なトップコートの塗り替えが必要。 |
【保護工法】
新築時に防水層の上にコンクリートやモルタルなどを打設して覆う状態です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 防水層が物理的にガードされ耐久性が向上。屋上を駐車場・庭園・テラスとして活用でき、歩行による損傷も心配なし。 |
| デメリット | コンクリートの重みで建物に負荷がかかり、設計段階からの検討が必要。 |
保護工法で採用されるコンクリート層の役割や、特有の劣化症状、メンテナンスのポイントについてはこちらをご確認ください。
アスファルト防水施工時の注意点

アスファルト防水は工法によっては、音や臭気・煙が発生するため、工事をスムーズに進めるための事前の準備が欠かせません。
居住者の方や近隣の方々が快適に過ごせるよう、配慮の行き届いた対策を講じましょう。
アスファルト防水工事のポイントは以下の2つです。
- 近隣に事前に周知しておく
- 火気を使わない工法を選ぶ
近隣に事前に周知しておく
工事日程が決まったら、早めに近隣の方々へ周知しましょう。
防水工事を行うという概要だけでなく、工期や時間帯・影響の内容・緊急連絡先を明記したチラシの配布や挨拶回りを行います。
アスファルト防水熱工法の場合は、釜でアスファルトを溶融する工程で、マスキング剤と呼ばれる香料を使用することで臭いへの対応を行うこともあります。
火気を使わない工法を選ぶ
周囲が住宅密集地である場合や、火の使用が制限されている建物では、火気を使わない常温粘着工法を選ぶと安心です。
火災のリスクをゼロに近づけることができ、周囲の方々へ安心感を与えられます。
また、煙や臭いの発生も抑えられるため、トラブルを低減できます。
アスファルト防水の劣化症状のサイン

屋上の防水性能を維持するためには、定期的なチェックが有効です。
早期に異常を発見することで、修繕費用を抑えることにつながります。
注意が必要な症状を以下の表にまとめました。
これらの症状が見られた場合は、早めに専門家へ調査を依頼しましょう。
| 劣化症状 | 状態と放置した場合のリスク |
|---|---|
| シートの継ぎ目の開き | シート同士の接着部が剥離して隙間ができている状態。雨水がダイレクトに下地へ浸入するため、即座に雨漏りにつながる危険なサイン。 |
| 防水層のふくれ・浮き | 下地の水分が熱で蒸発し、防水層を押し上げている状態。放置すると膨らんだ部分が破断しやすくなり、浸水を招く恐れがある。 |
| 泥・土の堆積や雑草 | 泥による排水口の詰まりや、植物の根が防水層を突き破る可能性がある。防水層だけでなく建物構造そのものを損傷させる原因となる。 |
| 表面保護塗料の変退色 | 表面のトップコートが劣化している状態。防水層が紫外線に直接さらされることで柔軟性が失われ、防水層の劣化が進行する。 |
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