大規模改修で屋上防水工事と同時に行うマンションの断熱
マンションでは10~15年の周期で大規模改修が行われます。工事の内容はマンション全員の同意を得た上で進められます。基本的にはマンションの経年劣化を防止する為に行われますが、それ以外に断熱等の付加価値を持たせることができます。
その為に費用が大幅に増加してしまいますが、屋上防水の改修時に行えば経年劣化防止と同時に、付加価値の向上に繋がります。
Contents
マンションの断熱工事の種類
マンションの大規模改修では、紫外線や雨風によって劣化した壁から雨水がコンクリート内部に浸透することを防ぐ為、外壁の補修や塗装を行います。同時に、雨水が浸透しやすい屋上やバルコニー、外階段には防水工事を行います。
そして大規模改修に際しては、マンションの資産価値を向上させることを目的に、断熱改修が行われることもあります。マンションの断熱にはマンション全体でする方法と個人でする方法があります。
個人で行う断熱改修
個人でする方法には内窓設置や窓交換による窓の断熱化や、玄関ドアの内側に気密性の高い内ドアを設けるなどの方法が挙げられます。ただ、個人でする場合には、マンションの規約によってできることが変わってきます。
個人で行う断熱改修の比較 | |
壁や床の断熱 | マンションでは戸建て住宅と違い、部屋の位置によっては外気に接している部分が少ない為、効果が期待できない場合がある |
窓交換・玄関ドア交換 | 断熱効果はあるが、マンションの外観に関わる為、規約によっては許可されないことがある |
内窓設置 | 断熱効果が高く、多くのマンションで許可される |
マンション全体で行う断熱改修
マンション全体の断熱工事には、外断熱改修、内断熱改修という2つの方法があります。マンションの外側を断熱材で包む断熱工法で行われる断熱工事が外断熱改修、コンクリートと内装下地の間に断熱材を入れる断熱工事が内断熱改修です。
外断熱改修は、内断熱改修より高い効果が得られることに加え、工事期間中も住民がマンションを出る必要がないという良さがあります。
さらに工事後の耐用年数が、内断熱改修より長いという特徴もあるのですが、大規模改修の費用が大幅に上がってしまうという問題点があります。
その結果、全員の同意が得られないこともあります。
一方、内断熱改修は、外断熱改修に比較すると、コストを抑えられる良さがありますが、冬場は冷え、夏場は熱がコンクリートを通して室内に入ってきます。また改修期間中、住民はマンションで暮らすことができません。その為、大規模改修は壁や屋上の劣化防止だけにし、断熱改修は個人でした方が良いという意見が出てくることもあります。
マンション全体で行う断熱改修の比較 | ||
外断熱改修 | 内断熱改修 | |
断熱効果 | 高 | 低 |
費用 | 高 | 低 |
生活 | そのままできる | マンションから出なくてはならない |
このように比較してみると、どの方法も一長一短があることが分かります。それでは断熱効果が高く、工事後の耐用年数が長い、さらに費用も抑えられる断熱改修はないのでしょうか?
屋上防水と同時にする断熱改修
大規模改修の際の第一の目的は、建物の劣化を防ぎ耐久性を高めることです。その為、壁の補修と並んで、屋上防水は必ず行われる工事です。マンションの屋根には、戸建て住宅に採用されている切り妻屋根や方形屋根などのような傾斜がありません。
目には見えないほどの傾斜は作られてはいますが、戸建て住宅のほどの排水量はありません。その為、新築時には屋上からの雨水の侵入を防ぐ為に、完璧な防水工事が行われます。ただ、屋上は常に紫外線や雨風にさらされている為、築年数が経つにつれてコンクリートが劣化し、雨漏りを発生させる恐れが出てきます。
その為、数年ごとに屋上の状態を調査する、十数年ごとにメンテナンスをする必要がある為、大規模改修の際には屋上防水の工事が必ず行われます。
この工事といっしょに断熱ができれば、工事後の耐用年数、費用、工事中のマンションの住民の生活など、全てをクリアする断熱工事ができます。
屋上防水について詳しくはこちらをご覧ください。 屋上防水とは?
屋上防水と同時にできるサーモコントロール断熱
屋上防水と同時にできる断熱工事は、サーモコントロール断熱という断熱改修です。屋上の防水工事をする際に、防水層に高反射塗料を使い、輻射熱の侵入を防いでマンション内に流れ込む熱の量を抑えます。
マンションにはもともと天井断熱が施されている為、天井からの熱の流出や冷気の侵入はある程度抑えられているはずです。ただ、断熱性がそれほど高くない場合、夏場には太陽の直射熱がコンクリートを通してマンション内に侵入してくる為に、室温が上昇します。
一方、十分な断熱施工が施されている場合、室温上昇は抑えられますが、断熱材の上にある防水層は照り付ける太陽の熱の影響を直接的に受ける為、劣化速度が上がってしまいます。
サーモコントロール断熱なら、断熱材によって熱の出入りが抑えられます。同時に高反射塗料によって太陽の熱が跳ね返され、熱の侵入が抑えられます。その結果、室内は夏でも涼しく、断熱材と高反射塗料の間に、サンドイッチの具のように防水層が位置する為、太陽の熱による劣化が防げます。
断熱と遮熱が室温と防水層に与える影響の違い
断熱は、熱の伝わりを遮る働きです。暖房の熱が逃げず、太陽の熱が流出しない室内環境を生み出します。
遮熱は、熱を反射して遮る働きです。太陽の熱が屋上にあたった際に発生する輻射熱の発生を抑え、室音上昇を抑えると同時に、防水層を守ります。
屋上防水サーモコントロール断熱で得られる効果
屋上が断熱遮熱されることによって、省エネ性と建物の耐久性が向上します。
省エネ効果の向上
冬は室内の暖房の熱が天井から逃げ室温が低下する、夏は屋上からの熱が室温を上昇させるというような環境は快適ではありません。このような状況の部屋を快適にする為には、エアコンの設定温度を上げなければならず、多大な光熱費が発生します。
一方、屋上の断熱・遮熱がされているマンションの室内では、天井からの熱の出入りがない為、少ないエネルギーで快適な室温を調えられます。
耐久性の向上
防水層は高反射塗料によって熱の上昇が抑えられるので、劣化速度が遅くなり耐久性が向上します。防水層の耐久性が向上するということは、屋上からの雨漏りのリスクがない期間が長くなるということです。その結果、メンテナンスの周期も長くなるため、長い目で見ると屋上防水にかかる費用が抑えられることに繋がります。
屋上のコンクリートは、断熱材によって温度の変化が抑えられるために、気候、気温の変化による熱膨張や収縮が発生し難くなります。その結果、ひび割れや割れなどのコンクリートの劣化が発生し難くなり、耐久性が向上します。
壁や窓の断熱は個人でもすることができますが、マンション全体の屋上断熱は大規模改修時でなくてはできません。そしてサーモコントロール断熱なら、マンションの耐久性を維持する為に必要不可欠な屋上防水と同時にできるので効率的です。
大規模改修の際には、マンションの寿命を長くすることと、住民の快適な暮らしを同時に実現できるサーモコントロール断熱を検討されませんか?
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