ウレタン塗膜防水の正しい選び方|密着工法との違いや単価を解説

ウレタン塗膜防水は、液状のウレタン樹脂を塗り重ねて継ぎ目のない防水層を形成する工法です。
複雑な形状の屋上や狭いバルコニーにも対応でき、多くの建物で採用されています。
しかし、密着工法と通気緩衝工法の違いや、下地の状態に応じた正しい選び方を知らなければ、早期の劣化やふくれといったトラブルを招きかねません。
本記事では、工法の特徴や費用相場、劣化サインの見極め方など、物件管理に役立つ知識を解説します。
コラムのポイント
・下地の状態に合わせて「密着工法」と「通気緩衝工法」の選択が必要です。
・ウレタン塗膜防水は、ふくれや亀裂などのサインを発見するために、定期点検が欠かせません。
Contents
ウレタン塗膜防水とは

ウレタン塗膜防水とは、液体状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を形成する工法です。
現場で材料を塗布することで、継ぎ目のない防水膜を作れます。
ウレタン塗膜防水には「密着工法」と「通気緩衝工法(絶縁工法)」の2種類があります。
- 密着工法:下地に直接ウレタン樹脂を塗布する工法
- 通気緩衝工法:下地との間に通気層を設けて水蒸気を逃がす工法
シート防水との違い
シート防水は、工場で製造されたゴムや塩化ビニル製のシートを下地に貼り付ける工法です。
製品として完成したシートを使用するため、品質が安定しやすい特徴があります。
一方、ウレタン塗膜防水は液状の材料を塗り重ねるため、複雑な形状や狭い場所にも隙間なく施工できる点が強みです。
シート防水ではシート同士のつなぎ目が発生し、その部分から劣化が進む場合があります。
ウレタン塗膜防水は継ぎ目のない一体化した層を形成できるため、端部や角部からの水の浸入リスクを抑えやすい工法です。
設備機器の架台が多い屋上や複雑な形状のバルコニーには、ウレタン塗膜防水が適している場合があります。
アスファルト防水との違い
アスファルト防水は、歴史のある信頼性の高い工法で、アスファルト防水シートを積層して厚みのある防水層を作ります。
二層以上の積層工法が原則となるため、水密性・耐久性ともに優れているのが特徴です。
広くて平らな屋上にはアスファルト防水、設備機器が多く複雑な形状の場所にはウレタン塗膜防水というように、状況に応じた使い分けが求められます。
ウレタン塗膜防水とアスファルト防水の違いを、標準耐用年数で整理すると以下のようになります。
| 工法 | 標準耐用年数 |
|---|---|
| ウレタン塗膜防水(密着工法) | 5〜10年 |
| ウレタン塗膜防水(通気緩衝工法) | 約10年 |
| アスファルト防水(押さえコンクリート仕上げ) | 約17年 |
| アスファルト防水(露出砂付き仕上げ) | 約13年 |
| シート防水 | 約13年 |
現在の防水層がアスファルト防水で、次回の改修でウレタン防水を検討されている方は、施工上の注意点や費用感をこちらでご覧ください。
ウレタン塗膜防水の工法の種類と選び方

ウレタン塗膜防水を選ぶ際は、建物の状態や施工場所に応じた工法の選定が必要です。
密着工法と通気緩衝工法にはそれぞれ特徴があり、下地の状態や既存防水層の劣化状況によって適した選択肢が変わります。
密着工法が適したケース
密着工法が適しているのは、以下のような条件に当てはまる場合です。
- 既存のウレタン防水層にふくれや破断がなく、トップコートの退色程度の軽微な劣化にとどまっている場合
- ベランダやパラペットの立上り部分など、狭くて複雑な形状の部位
- 笠木まわりや架台基礎まわりなど、細かい作業が求められる場所
通気緩衝工法(絶縁工法)が適したケース
通気緩衝工法が適しているのは、以下のような条件に当てはまる場合です。
- 下地に水分が含まれており、密着工法ではふくれが発生するリスクが高い場合
- 下地が押さえコンクリートの場合
- 屋上面積が広く、下地に含まれる水分が多い場合
- 既存の防水層に劣化やひび割れが見られる場合
雨漏りリスクを抑える通気緩衝工法のメカニズムや、施工時に欠かせない脱気筒の役割については、こちらで詳しく解説しています。
ウレタン塗膜防水が選ばれる理由

ウレタン塗膜防水は、液状の材料を使用する特性から、他の防水工法にはない以下2つのメリットがあります。
- 複雑な形状や狭い場所にも施工できる
- 継ぎ目のない一体化した防水層を形成できる
複雑な形状や狭い場所にも施工できる
ウレタン塗膜防水の大きな特徴は、どのような形状の場所にも対応できる施工性の高さです。
液状のウレタン樹脂を塗布して防水層を形成するため、凹凸のある場所や設備機器が多い屋上、狭いバルコニーでも隙間なく施工できます。
フェンスの基礎や架台まわりなど、細かい作業が求められる場所の防水にもおすすめです。
シート防水では、シートを貼り付けるため、複雑な形状への対応に限界があります。
ウレタン塗膜防水であれば、現場の形状に合わせて自在に防水層を形成できるため、継ぎ目のないシームレスな仕上がりを実現できます。
継ぎ目のない一体化した防水層を形成できる
ウレタン塗膜防水で形成される防水層には継ぎ目がありません。
シート防水ではシート同士の継ぎ目から劣化が進行する場合がありますが、ウレタン塗膜防水では一体化した層になるため、その心配がありません。
継ぎ目がないことで、剥がれや口開きのリスクを抑えられます。
ウレタン塗膜防水改修工事の費用相場

ウレタン塗膜防水の改修工事にかかる費用は、採用する工法によって異なります。
密着工法と通気緩衝工法それぞれの費用相場(※)は以下のとおりです。
| 工法 | 費用相場(1㎡あたり)※下地処理費用は含まず |
|---|---|
| 密着工法 | 約13,000円 |
| 通気緩衝工法 | 約17,000円 |
通気緩衝工法は絶縁シートや脱気筒の設置が必要となるため、密着工法よりも費用が高くなる傾向があります。
ただし、下地の状態によっては通気緩衝工法を選ばないとふくれなどの不具合が発生するリスクがあるため、費用だけでなく建物の状態に合わせた工法選びが必要です。
見積書チェックポイントと内訳の読み方
単価や工事総額だけで施工会社を選ぶと、思わぬ失敗につながる場合があります。
見積書を確認する際のチェックポイントは以下の4点です。
- 工事内容・仕様の確認:採用する工法や使用材料が明記されているか
- 数量の確認:施工面積や材料の数量が正確に記載されているか
- 備考欄の確認:追加費用や施工条件、保証内容が記載されていないか
- 相見積もりの取得:複数の業者から見積もりを取り、内容を確認する
防水工事の総額を適正に抑えつつ、手抜き工事を防ぐための信頼できる業者選びの基準については、こちらにまとめています。
ウレタン塗膜防水の改修が必要な劣化サイン

ウレタン塗膜防水は時間の経過とともに劣化が進行します。
適切なタイミングで改修工事を行うには、以下3つの劣化サインを見逃さないようにしましょう。
- ふくれ・浮き
- ひび割れ・亀裂
- チョーキング現象
ふくれ・浮き
ウレタン防水の表面にふくれや浮きが発生している場合、防水層と下地の接着力が低下しています。
水や空気が防水層の下に入り込むことで、ふくれや浮きが発生します。
放置すると防水層の剥がれや雨漏りにつながる恐れがあるため、ふくれや浮きを見つけた場合は早めの補修が必要です。
定期的な点検でふくれや浮きの有無を確認し、発見した場合は速やかに防水業者に相談しましょう。
ひび割れ・亀裂
ウレタン防水の表面にひび割れや亀裂が生じている場合、防水層表面のトップコートの劣化が進行しています。
紫外線や温度変化によるトップコートの劣化は、ひび割れの原因です。
トップコート自体には防水効果はありませんが、劣化を放置すると、下にある防水層本体の劣化が進行します。
チョーキング現象
トップコートはウレタン防水層を紫外線や雨水から保護する役割を担っています。
経年によってトップコートが劣化すると、防水層への負担が増えます。
色あせや光沢の低下が見られる場合は、トップコート劣化のサインです。
チョーキング現象とは、ウレタン防水の表面を手で触ると白い粉が付着する症状です。
紫外線による塗膜の劣化が原因で発生し、防水性能の低下につながります。
ウレタン塗膜防水のメンテナンス方法

ウレタン塗膜防水を長持ちさせるには、適切なメンテナンスが欠かせません。
日常的なチェックと定期的な専門家による点検の組み合わせによって、防水層の寿命を延ばし、工事にかかる費用を抑えられます。
ウレタン塗膜防水のメンテナンスとして、以下の項目を実施しましょう。
- 目視点検(年1〜2回):ふくれ、浮き、ひび割れ、トップコートの変色などがないかをチェックする
- 排水口・排水溝の清掃:落ち葉やゴミの詰まりを取り除き、水はけを良好に保つ
- 専門家による点検(数年に1度):防水層の状態の診断によって、見落としがちな劣化箇所を発見できる
関防協は、防水工事の「エキスパート集団」です。

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当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計191社の正会員がおります(2025年12月時点)。
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