屋上防水工事の適切な時期とは?劣化サインの見極め方や防水業者の選び方を解説

屋上防水は、建物の資産価値を維持するための「要」です。
しかし、目に見えにくい劣化の進行を正確に捉え、最適な実施時期を判断するのは容易ではありません。
万が一、雨漏りが発生してから対処すれば、修繕費用が跳ね上がるリスクもあります。
本記事では、管理者様が備えておくべき劣化サインの判定基準や工法ごとの費用対効果、業者選定のポイントについても解説します。
ライフサイクルコストを抑えつつ、建物の価値を長く保つためのガイドとしてご活用ください。
コラムのポイント
・専門業者への直接依頼の検討によって中間マージンを削減できます。
・詳細な見積書や、充実した保証体制が、手抜き工事を防ぎ信頼できる業者を見極める基準です。
Contents
屋上に防水が必要な理由

屋上は一年中太陽の熱や紫外線、雨風にさらされます。
このような建物の構造を守る機能を果たしているのが“防水層”です。
防水層の経年劣化を放置し、コンクリート内部へ雨漏りしてしまうと、以下のような二次被害を招きます。
- 内部鉄筋の腐食:浸入した水分が鉄筋を錆びさせ、膨張させることでコンクリートを破壊する「爆裂現象」を引き起こし、耐震性能を低下させる。
- 雨漏りの発生:天井や壁からの漏水により、家財や内装に被害がおよぶ。
- 資産価値の低下:建物全体の寿命が縮み、将来の売却価格や修繕費に影響する。
物理的な雨漏りが起きる前に適切な処置を施すことが、建物の健康と資産価値を長く保つために欠かせません。
雨漏りを放置することで生じる二次被害や、修繕費用がどれほど膨らむのかといった具体的なリスクについては、こちらで解説しています。
メンテナンスすべき屋上防水の劣化サイン

屋上の状態を把握するために、代表的な劣化の症状を一覧にまとめました。
所有物件の状況と照らし合わせながら、確認してみましょう。
| 劣化サイン | 具体的な状態とリスク |
|---|---|
| ひび割れ・亀裂 | 表面に細かい筋や深い割れ目が現れる現象。毛細管現象により、わずかな隙間からでも雨水が構造体へ浸入する。 |
| 膨れ・浮き | 防水層の下に水分や空気が閉じ込められ、熱で膨張した状態。防水層の密着性が低下しており、破断の原因となる。 |
| 剥がれ・破れ | 防水シートの継ぎ目の剥離や破れ。下地が露出している場合、即座に雨漏りへつながる危険な状態。 |
| 水たまり・雑草 | 排水溝(ルーフドレン)の詰まりや勾配不良。雑草の繁殖は根が防水層を貫通する「植物根被害」を招く。 |
| 色あせ・粉吹き | 表面を触ると白い粉が付く状態。塗膜の保護機能が低下し、紫外線による劣化が進行している合図。 |
これらの症状が一つでも見受けられる場合は、建物内部へのダメージを防ぐため、早めの専門調査をおすすめいたします。
中でも見落としがちな屋上の雑草が建物に与えるダメージと、ご自身で抜く際のリスクについては、こちらを参考にしてください。
屋上防水工事の種類と選び方

屋上防水は、一度施工すれば終わりではありません。
建物の形状や現在の劣化状況、「あと何年その建物を維持したいか」という経営計画に合わせて工法を選ぶ必要があります。
単に安価な工法を選ぶのではなく、将来のメンテナンス費用を含めた「ライフサイクルコスト」を最適化する視点が建物の維持に欠かせません。
屋上防水3種類の特徴
それぞれの工法には、得意とする環境とコストの特性があります。
| 工法 | 主な特徴 | 耐用年数の目安 | 適した屋上の形状 |
|---|---|---|---|
| ウレタン防水 | 液体状の材料を塗り重ねるため、複雑な凹凸や架台がある場所でも隙間なく施工できる。 | 約10年 | 複雑な形状、凹凸がある場所 |
| シート防水 | 塩ビやゴム製のシートを接着します。工場生産されたシートを使うため、品質が安定している。 | 約13年 | 面積が広く、平坦な場所 |
| アスファルト防水 | 最も歴史があり、厚みのある防水層を作るため信頼性に優れている。 | ・保護コンクリート仕上げ:26〜38年 ・露出仕上げ:13〜18年 |
大規模マンション、公共施設、高い耐久性を求める場所 |
それぞれの違いを把握し、ご自身の物件に適した方法を見極めることが求められます。
防水層に合わせたメンテナンスの判断
修繕計画において大切なのは、既存防水層の状態を見極め、最適な工法を選択することです。
下地の状況により、主に以下の2つの工法を使い分けます。
- 密着工法:下地に防水材を直接塗布・貼付する工法。高い密着性を持ち、小面積での施工に適している。
- 通気緩衝工法:下地との間に「通気シート」を挟み、湿気を外部へ逃がす工法。下地が水分を含んでいる現場において、膨れのリスクを抑えられる。
また、既存の防水層の状態によっては、古い層を撤去せずに上から新設するカバー工法が検討可能です。
カバー工法は、撤去費用を抑えつつ工期短縮と環境負荷の低減を両立できます。
工法決定には、劣化状況を判定するために事前の調査診断を行うことが重要です。
最適な工法を導き出すことが、メンテナンスコストの削減につながります。
信頼できる防水業者の選び方

長期にわたって建物を守る高品質な仕上がりを実現するには、依頼先の選定が欠かせません。
信頼できる業者には、主に以下4つの特徴があります。
- 詳細な現地調査と診断報告がある
- 中間マージンが乗っていない
- 保証が充実している
- 見積書が「一式」表記ばかりでない
詳細な現地調査と診断報告がある
現地を確認せずに図面だけで見積もりを出す業者には注意が必要です。
信頼できる業者を見極めるための、具体的な調査基準は以下のとおりです。
- 屋上に登り、細部まで目視で確認しているか
- ひび割れや水たまりの状況を写真に撮り、記録に残しているか
- 劣化状況を可視化した「診断報告書」を作成してくれるか
- 「なぜこの工法が必要なのか」を論理的に説明できるか
専門家の視点で劣化の進行度を示してもらうことで、判断がしやすくなります。
手間を惜しまず丁寧に調査を行うかどうかが、施工品質を判断する目安となります。
中間マージンが乗っていない
仲介業者を介して依頼する場合、紹介手数料などの費用が上乗せされるのが一般的です。
仲介費用を抑えることは、単なる節約ではなく、工事そのものの質を向上させるチャンスでもあります。
- 直接依頼の検討:防水専門業者の団体や防水業者へ直接相談することで、仲介手数料を削減できる。
- 予算の活用:削減されたマージンを、高機能な防水材へのアップグレードや、より丁寧な下地処理の工程に充てることで、耐久性を高められる。
「どこに費用を払うのか」を明確にすると、納得のいくメンテナンスに近づきます。
保証が充実している
万が一のトラブルの際に、実効性のあるサポートが受けられるかを契約前に精査する必要があります。
- 保証書の有無:口頭での約束を避け、対象範囲と期間が明記された保証書の発行を確認する。
- 保証の範囲:「どのような場合に保証対象外となるのか」という条件をあらかじめ把握しておく。
長期間にわたって建物を守るためには、工事が終わった後のサポート体制が整っていることが必須条件です。
見積書が「一式」表記ばかりでない
見積書に「一式」という言葉が多用されていないかをチェックします。
優良な見積書には、以下の項目が具体的に記されています。
- 面積と単価:施工面積が正確に算出され、単位あたりの単価が適切か。
- 材料の詳細:メーカー名や商品名が記載され、グレードが適切であるか。
- 下地処理の明記:高圧洗浄、ひび割れ補修、古い防水層の下地処理費が含まれているか。
特に下地処理は、防水層の施工品質を左右する重要な工程です。
詳細な内訳を提示する業者は、工程の一つひとつに責任を持っている証拠です。
不明な点は都度質問し、納得できる回答を得られる業者を選びましょう。
信頼できる業者選びとあわせて確認しておきたい、屋上防水工事の費用相場や、コストを賢く抑えるための3つの方法について、こちらで紹介しています。
屋上の防水工事Q&A

関防協が屋上の防水工事について、お客様からよくいただくご質問にお答えします。
Q.防水工事はうるさいですか?
A.工法の種類や工程によりますが、主に以下の工程では、一定の作業音や振動が発生します。
- 既存の防水層を撤去する際のはつり作業
- 下地を整えるための機械研磨
- 機械的固定工法採用時の振動騒音
近隣トラブルを未然に防ぐためにも、事前の告知計画を業者としっかり打ち合わせをしましょう。
Q.工事前に準備しておくことは?
A.施工品質の確保と安全のため、主に「スペースの確保と入居者様への告知」をお願いしています。
スムーズな施工を実現するために、以下の準備が必要です。
- 屋上の整理整頓:物置、鉢植え、不要な設備等の移動や処分。作業スペースを確保することで、職人が作業しやすい環境が整う。
- インフラの確認:工事用車両の駐車スペース、および作業に使用する水道・電気の提供範囲について業者と協議する。
- 入居者様へのご案内: 高圧洗浄時の水跳ねや溶剤の臭いにより、洗濯物を干せない日が発生する場合がある。事前のお知らせを徹底することで、入居者満足度の低下を防ぐ。
防水業者と二人三脚で準備を進めることが、トラブルのない円滑な完工への第一歩です。
Q.屋上防水は自分でできますか?
A.DIYはかえって建物の寿命を縮めるリスクがあるため、おすすめしません。
屋上防水は単に「塗る」作業ではなく、水の流れ(勾配)を読み、下地を緻密に処理する高度な専門技術を要します。
長期的な資産価値の維持を考えるなら、診断に基づいたプロの施工に任せるのが最も確実で経済的です。
関防協は、防水工事の「エキスパート集団」です。

工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合(関防協)へまずはお気軽にご相談ください。
当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計192社の正会員がおります(2026年1月時点)。
また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。
「雨漏り診断をどこに依頼すれば分からない」「信頼できる施工会社の選び方が分からない」そんな方は関東防水管理事業協同組合へご相談ください。
当HPでは、防水改修調査診断員による無料診断も申し込みや、マップ上での施工店検索ができます。 少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。



