屋上への太陽光パネル設置は防水工事が重要|「やめとけ」と言われる理由やメリット・雨漏り対策も解説
脱炭素化や電気料金の高騰対策として、建物の屋上に太陽光パネルを設置する動きが加速しています。
しかし、安易に導入すると「こんなはずではなかった」と後悔することも少なくありません。
この記事では、屋上への太陽光パネル設置におけるメリット・デメリット、長期的な資産価値を守るための防水工事の重要性について、わかりやすく解説します。
失敗しない業者選びのポイントもご紹介するので、太陽光パネルの導入をお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
・太陽光パネル設置は、寿命の長い防水工事を同時に行い、将来のコストを抑えることが大切です。
・太陽光と防水、両方の実績が豊富な専門業者へ相談するのが、失敗しないポイントです。
Contents
屋上に太陽光パネルを設置するメリット
太陽光パネルの設置は、環境への貢献だけでなく、企業経営や不動産価値の向上などのメリットをもたらします。
ここでは、主な3つのメリットをご紹介します。
電気料金を削減できる
日中の電力使用量が多い商業施設や工場では、発電した電気をそのまま自家消費することで、電力会社から購入する電力量を減らせます。
マンションでもエレベーターや共用部の照明の電力を太陽光でまかなうことが可能です。
近年の電気料金高騰に対する対策として、太陽光発電の経済効果が注目されてます。
企業価値・不動産価値が向上する
太陽光パネルの設置は、企業の社会的評価と不動産の資産価値を同時に高める効果があります。
再生可能エネルギーへの取り組みは、企業の環境への姿勢を示すアクションです。
ESG投資やSDGsが重視される現在、投資家からの評価向上や資金調達の優位性につながります。
不動産面では環境配慮型物件として、競合と差別化でき、テナント誘致や入居者募集において、長期的な稼働率向上が期待できます。
防災対策と事業継続計画の強化につながる
太陽光発電システムは、災害時の非常用電源としても機能します。
地震や台風による大規模停電では、事業所やマンションが機能停止しますが、太陽光発電があれば、最低限必要な電力を確保できるため、事業活動への影響を軽減できます。
蓄電池と組み合わせると、夜間や悪天候でも安定した電力供給が可能です。
停電による事業停止で発生する機会損失や復旧コストの削減効果もあり、太陽光発電は今や欠かせない設備といえます。
災害大国日本において、事業継続計画(BCP)の一環として太陽光発電を位置づける企業が増えてます。
太陽光パネルの設置は「やめとけ」と言われるデメリットや注意点
多くのメリットがある一方で、太陽光パネルの設置が「やめとけ」と言われるのには理由があります。
ここでは、デメリットや注意点をご説明します。
屋上防水のメンテナンスが複雑になり、コストが増える
太陽光パネルの設置において、見落とされがちなのが維持管理コストです。
太陽光パネル自体の寿命は約30年と長いですが、発電した電気を建物内で使えるように変換する「パワーコンディショナー」は、10~15年で交換時期を迎えるのが一般的です。
パワーコンディショナーの交換には数十万円の費用がかかるため、長期的な資金計画に組み込んでおく必要があります。
雨漏りのリスクがある
太陽光パネルの設置工法によっては、パネル固定用の架台を屋上にアンカーボルトで取り付けるため、防水層に穴を開ける必要があります。
穴の防水処理が不十分だったり、防水層が劣化した場合は、雨水の侵入経路となります。
勾配がほとんどない陸屋根は、屋上に水が溜まりやすい構造です。
わずかなひび割れや防水層の不具合が、雨漏りにつながります。
雨漏りを放置すると建物におよぶ危険について、詳しくは以下の記事で解説しています。
建物の耐荷重・耐震性の問題で設置できない場合がある
太陽光パネルは重量があるため、屋上に設置すると建物に負担がかかります。
そのため、設置前には「太陽光パネルの重さに建物が耐えられるか」を専門家に確認してもらう必要があります。
1981年以前の旧耐震基準で建てられた築40年以上の建物は、現在の耐震基準を満たしていない場合があるため注意が必要です。
計画が、建物の問題で中止にならないよう、事前に建物が太陽光パネルの設置に適しているかを確認するのがおすすめです。
シミュレーション通りの発電量が出ないことがある
太陽光発電は、日照時間や天候によって発電量が大きく左右されます。
梅雨時期や冬の日照不足、夏場の猛暑でパネルが熱くなりすぎると、発電効率は低下してしまいます。
発電シミュレーションはあくまで予測値であり、実際の発電量が想定を下回ることも少なくありません。
シミュレーション数値を鵜呑みにせず、実際の設置環境や気象条件を考慮した計画を立てましょう。
太陽光パネルの設置は「防水工事」で決まる
ご紹介してきた雨漏りリスクやメンテナンス費用の増加など、太陽光発電導入における多くの問題は、防水処理の良し悪しに直結しています。
太陽光パネルの設置と防水工事は、それぞれ専門的な技術が求められる分野です。
長期的な安心のためには、太陽光発電と防水工事に関する知識と実績を持つ業者を選ぶことが大切です。
太陽光パネルの寿命に合わせた高寿命防水を選ぶ
太陽光発電の検討において、「太陽光パネル」と「屋上防水」の寿命の違いは、多くの方が見落としがちです。
太陽光パネルは約30年使用できる一方で、防水工事の工法によっては耐用年数は10~15年程度しかないため、パネルがまだ十分使える状態なのに、防水層だけがメンテナンス時期を迎えます。
この場合、防水工事を行うために、せっかく設置した太陽光パネルを一度すべて撤去し、工事後に再設置する必要があります。
こうした無駄なコストと手間を避ける方法は、太陽光パネルの寿命と同等の高寿命防水工事を行うことです。
工事費用は一般的な防水工事より高くなりますが、長期的にはコスト削減と安心感が得られるためおすすめです。
建物の長寿命化を実現する考え方や高耐久防水の重要性については、こちらで紹介しています。
雨漏りを防ぐための工法選びと業者選定
太陽光パネル設置で雨漏りを防ぐには、建物の状況に合わせて工法を選びます。
- 穴を開けない「アンカーレス工法」
専用の置き基礎を使い、防水層に穴を開けずにパネル架台を固定する工法です。
物理的に雨水の侵入経路を作らないため、雨漏りリスクを防げる点がメリットです。
屋根に置く工法のため、設置場所の風の強さや建物の高さによっては採用できない場合があります。
- 固定力に優れる「アンカー固定工法」
アンカーボルトで架台を建物に直接固定する方法です。
建物と一体化するため固定力が強く、強風による転倒リスクが低い点がメリットです。
防水層に穴を開けるため、パネル架台設置箇所の防水工事は専門業者による適切な施工を行う必要があります。
どんなに優れた防水材を使っても、下地処理が不十分だと早期の劣化や雨漏りにつながります。
防水工事の下地処理の重要性について、以下の記事で詳しく解説しています。
失敗しない業者選び4つのチェックポイント
長期的に安心して太陽光発電システムを運用するためには、業者選びが大切です。
以下の4つのポイントを必ず確認しましょう。
1. 太陽光発電だけでなく防水工事の実績があるか
太陽光パネルの設置は得意でも、防水工事を外部に任せている業者では、雨漏りリスクを防げません。
建物の構造や防水層についての知識があり、雨漏りを起こさない施工ができる「防水のプロ」であるかが重要です。
2. 専門的な調査・診断ができるか
信頼できる業者は、建物の構造や防水層の劣化状況、周辺環境の影響まで調査し、説明してくれます。
3. 長期的な保証やメンテナンス体制が整っているか
太陽光パネルも防水層も、20年、30年と長く付き合っていく設備です。
施工後の定期点検や、万が一のトラブルに迅速に対応してくれる長期保証・メンテナンス体制が整っているかどうかも、事前に確認しておくと安心です。
4. 瑕疵保証期間が残っていないか
新築住宅の場合は、10年間の瑕疵保証期間に既存防水層に手を加えると、防水保証が切れてしまいます。
太陽光パネル設置工事を行う場合は、事前に保証期間を確認しておくことが肝要です。
屋上の太陽光パネルQ&A
関防協が屋上への太陽光パネル設置について、お客様からよくいただくご質問にお答えします。
Q. 太陽光パネルの設置に雨漏りのリスクはありませんか?
A. 適切な工法と、防水工事にも精通した信頼できる業者を選べば、雨漏りのリスクは下げられます。
ただし、どんなに優れた工法でも、施工する業者に技術力がなければ意味がありません。
太陽光パネルの知識だけでなく、防水工事の専門技術も持つ業者を選びましょう。
Q. 「初期費用0円」のプランのデメリットは?
A. 手元資金がなくても始められる「初期費用0円」プランは魅力的ですが、一方でデメリットもあります。
主に「リース契約」と「PPAモデル」の2種類があります。
リース契約:毎月定額のリース料金を支払うモデル
発電した電気はすべて自家消費できますが、契約期間中のトータルコストは、一括購入よりも割高になる傾向があります。
PPAモデル:事業者が無償でパネルを設置し、発電した電気を建物の所有者が購入するモデル
電気料金は通常の電力会社より安く設定されますが、発電設備は事業者の所有物であるため、売電収入は得られません。
資金状況や長期的な事業計画に合わせて、ご検討いただければ幸いです。
Q. 太陽光パネルの掃除やメンテナンスは、どのくらいの頻度で必要ですか?
A. 基本的にパネル表面の汚れは雨で自然に洗い流されるため、清掃は不要です。
ただし、4~5年に一度は専門家による定期点検を受けるのがおすすめです。
点検では、パネルの汚れや破損のチェックのほか、機器の接続部分の緩みやパワーコンディショナーの性能測定など、目視ではわからない異常も発見できます。
これにより、発電量の低下を防ぎ、長期にわたって安定した運用ができます。
関防協は、防水工事の「エキスパート集団」です。
工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合(関防協)へまずはお気軽にご相談ください。
当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計192社の正会員がおります(2025年8月時点)。
また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。
「雨漏り診断をどこに依頼すれば分からない」「信頼できる施工会社の選び方が分からない」そんな方は関東防水管理事業協同組合へご相談ください。
当HPでは、防水改修調査診断員による無料診断も申し込みや、マップ上での施工店検索ができます。 少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。