これからの建物は“長寿命化”がカギに。
ポイントから対策方法まで徹底解説

みなさんは建物の寿命を長くするために、何をすればいいか知っていますか?ほとんどの人が「こまめに不具合のある場所をメンテナンスする」と考えるでしょう。しかし、近年はそこに新たな機能を追加した“長寿命化工事”が注目されています。

そこで、今回は建物を長寿命化させるための対策方法や、おすすめの工法について詳しく解説します。アパート・マンションなどの集合住宅や、テナントビルなどをお持ちの方は、少しでも資産を長持ちさせるために、是非参考にしてください。

このコラムのポイント
・長寿命化工事とは、単なる改修とは異なり、劣化を未然に防いで予測保全すること。
・鉄筋コンクリートの長寿命化は、「リバンプ工法」がおすすめ




そもそも建物の寿命ってどのくらい?

皆さんは建物の寿命がどのくらいかご存知ですか?実は、建物の寿命はその構造体によって大きく異なります。

  • 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)・鉄筋コンクリート造(RC造) = 65〜80年
  • 鉄骨造(S造) = 65〜80年
  • 木造 = 40~50年(歴史的建造物除く)



日本では1950年代中盤から1970年代前半に高度成長期を迎え、SRC造・RC造の建物が多く建設されました。今まさにそれらの建物は寿命を迎えつつあることも、「長寿命化工事」が注目されている理由でもあります。ちなみに、日本では、木造の戸建て住宅は多いものの、SRC造やRC造の共同住宅が増加傾向にあり、比較的新しい建物についても何らかの長寿命化を施すケースも増えています。


先ほど紹介した寿命の目安は、あくまで十分メンテナンスされていることが前提です。寿命を全うし、少しでも建物を長持ちさせるためには、定期メンテナンスだけではなく「長寿命化工事」も欠かせません。



SDGsの普及に伴い注目されている建物の“長寿命化”

「長寿命化工事」とは、経年により老朽化した建物を将来に渡って長く利用できるようにするために、単に不具合箇所を改修するだけではなく、機能や性能を加える工事を指します。単なる部分的な改修とは異なり、建物の性能を現代の水準かそれ以上まで引き上げることが一番の目的です。

改築工事と長寿命化工事の比較

改築工事と長寿命化工事には、それぞれにメリット・デメリットがあります。それぞれ比較してみましょう。

メリットデメリット
改築工事・設計や施工上の制限が少なく、比較的理想が実現しやすい
・耐震補強などの法規に沿った施工がしやすい
・既存建築物の解体が必要となり、廃棄物が多量に発生する
・工期がかかり、費用も膨大になる
長寿命化工事・改築工事よりも工期が短く、工事費も削減できる
・大規模な解体が必要ないため、廃棄物が少ない
・設計や施工上の制限があるため、間取りの変更などは難しい


このように、長寿命化工事はプラン変更などが難しいものの、既存建物を生かす上では、コストの削減や環境問題対策の観点からもメリットが大きいと言えます。「脱炭素化」や「持続可能な社会(SDGs)」への注目が高まっている現代において、まさに長寿命化工事は最良のメンテナンス方法として認識されつつあります。



長寿命化させるための対策方法は?

では、具体的に“長寿命化”させるためには、どのような対策を心がければよいのでしょうか。ここでは、最低限徹底すべき5つのポイントを紹介します。

その① 定期的な建物診断

まず、長寿命化させるためには、建物を常に健全な状態で保つ必要があります。そのためには、劣化の有無に関わらず、定期的に建物診断を受けるようにしましょう。最低でも、5年周期で実施することをおすすめします。プロの視点で建物をくまなくチェックしてもらうことで、被害を未然に防ぐことが可能で、建物の躯体も傷めません。

その② 外装の定期的な大規模改修

建物診断の結果を踏まえ、定期的な外装の大規模改修を行いましょう。特に目立った不具合がなく軽微な劣化状態であったとしても、劣化が大きく進行する前に10年周期程度で改修を検討することをおすすめします。早め早めのメンテナンスは予測的保全に繋がります。また、外装の管理が行き届いている建物は、資産価値が高いと判断されることが多いです。

その③ 給排水・電気・機械設備の交換

長寿命化するためには、外装の改修工事に加えて、給排水管や電気配線、エレベーターなどの機械設備の交換も必要です。定期点検(メンテナンス)を実施して、パーツごとに寿命を迎える前に交換することで、結果的には大掛かりな工事を防げます。

その④ 構造躯体の機能維持及び更新

通常は、構造躯体に対して予防的保全を行うことは難しく、劣化が露呈してから都度対応することが多いでしょう。しかし、近年新しい長寿命化工法が次々と開発されているため、構造躯体に対しても予測的保全が可能となってきました。劣化が進行しないうちに、これらの工法を取り入れてみることで、躯体の機能を長期間維持できることにつながります。

その⑤ 改修記録の徹底管理

建物を長寿命化するためには、各所に適切な工事を施すことは重要ですが、それ以外にも忘れてはいけないポイントがあります。それが、「改修記録の保管」です。改修履歴を記録しておくことで、長期間を見据えた無駄のない改修計画が立てられます。また、どこか不具合が生じた時に、いつ・どこに・どのような工事をしたかが分かるようにしておくことで、施工不良を見つけることも容易になるでしょう。



要”となるのが鉄筋コンクリートの中性化対策

非木造建築物以外の大半を占めるSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)とRC造(鉄筋コンクリート造)において、寿命を大きく左右するのが「コンクリートの中性化」です。

中性化とは、一般に空気中の二酸化炭素の作用を受けて、コンクリート中の水酸化カルシウムが徐々に炭酸カルシウムになり、コンクリートのアルカリ性が低下する現象をいい、炭酸化と呼ばれることもある。

鋼材の周囲を包んでいるコンクリートが中性化すると鉄筋の不動態被膜が破壊されるため、水や酸素の浸透により鉄筋がさび、構造物の耐荷性や耐久性が損なわれる。(以下略)

引用:公益社団法人 日本コンクリート工学会|コンクリートの基礎知識


用語解説
不動態皮膜とは、金属の表面に形成された酸性皮膜のことで、強アルカリ性であるコンクリートから鉄筋・鉄骨などの鋼材が腐食することを防ぐ役割がある。この不動態被膜が劣化し破断すると、鋼材が錆びてしまう。


中性化する原因は二酸化炭素であるため、軽微なクラック(ひび割れ)から内部にまで浸透して、症状を進行させてしまいます。ですから、コンクリートを長持ちさせ、内部の鉄骨や鉄筋の腐食を防ぐためには、中性化の進行を少しでも食い止めなくてはいけません。また、二酸化炭素を含んだ酸性雨などもコンクリートを中性化させてしまいます。

このように、マンションやテナントビルの多くの構造躯体であるコンクリートを中性化させないことこそ、建物の長寿命化に直結するのです。



鉄筋コンクリートの長寿命化には「リバンプ工法」がおすすめ

鉄筋コンクリート造の建物を長持ちさせるために必要なのは、ずばりプロによる定期的な建物調査です。劣化を見つけてから処置をしては手遅れになる場合が多いため、劣化箇所を見つけ次第適切な改修をしなくてはなりません。そこでおすすめな改修方法が、「リバンプ工法」です。

本工法は、不動態皮膜の再生機能を有する亜硝酸イオンを、いかに有効に効果を発現させるかを主眼としたものであり、リチウムイオンと組み合わせた「亜硝酸リチウム」として高い保水性を持たせ、コンクリート内でも乾燥固化せず浸透拡散を効率化した設計となっております。また、細孔を緻密化させると共に水分で満たすことによる劣化因子の高い遮蔽効果を有します。リチウムイオンはアルカリ骨材反応の抑制効果も有します。

引用:田島ルーフィング|躯体改修|リバンプ工法の効能



リバンプ工法は、現状の劣化度合いや立地条件に応じた躯体補修工法と適切な表面保護工法を組み合わせて建物を長寿命化させることができます。建物を「中性化」や「塩害」から守るためにも、ぜひこのリバンプ工法を検討してみましょう。

〈関連ページ〉
リバンプ工法の効能や各種工法の詳細など詳細については、下記ベージをご覧ください。

田島ルーフィング|躯体改修|リバンプ工法の効能

関東防水管理事業協同組合|コラム|鉄筋コンクリート造のマンション・テナントビルは改修できる?長寿命化に向けたポイントとは?



工事店はどうやって選ぶ?業者選びに困ったら関防協へご相談を!

工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合(関防協)へまずはお気軽にご相談ください。当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループで、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計191社の正会員がおります(2019年11月時点)。また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。

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〈関連ページ〉
下記コラムでは、施工会社の選び方を詳しく紹介しています。どこに頼めばいいか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

関東防水管理協同組合|コラム|“安心・安全・高品質”の防水工事会社を選ぶには?失敗しない優良業者の見分け方について7つのポイントを解説




まとめ|建物を少しでも長寿命化しましょう

今回は、建物を長寿命化するメリットや大切なポイントについて解説しました。従来、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造は、不具合や劣化を見つけてから都度メンテナンスする方法がとられていました。しかし、それでは建物の寿命は少しずつ短くなってしまいます。そこでおすすめなのが、「長寿命化工事」です。事後保全だけではなく、予防的保全を施すことで、建物の寿命を全うすることができます。建物を長持ちさせることは、廃棄物があまり出ないという観点からも、環境的に大きな意義があります。

私たち関防協では、現状の建物調査も承っております。「信頼できる業者がわからない」そんな方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合のネットワークで信頼できる工事店を探してみてください。都道府県別に登録業者を検索できるため、近くの工事店を簡単に見つけられます。少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。