屋上やベランダの防水はどうやって改修するの?改修方法などを徹底解説

集合住宅やテナントビルのオーナー様にとって、どれだけコストをかけずに物件を維持管理できるかは重要な課題でしょう。きれいに保たなくては借り手が見つかりませんし、改修費用をかけすぎては長期間所有することが困難になってしまいます。問題は「どのようにメンテナンスをするか」という点ですが、はっきりとそれらを把握している方は多くはないでしょう。そこで、今回は屋上やベランダの改修方法について工法別に解説します。おすすめの改修方法や、選定方法も合わせて紹介しますので、賃貸ビルや賃貸マンションなどを所有している方は是非参考にしてください。

このコラムのポイント
・適した改修方法を選択するだけではなく、定期的な調査やセルフチェックが必要。
・改修時期は立地条件や既存の状態によって大きく変わるため、劣化具合を常に把握しなくてはいけない。

 

集合住宅やテナントビルの適切な防水改修方法とは?

アパートやマンション、テナントビルの屋上やベランダには、主に3種類の防水工事が施されています。

  • ウレタン(塗膜)防水
  • シート防水
  • アスファルト防水

それぞれの工法によって改修方法が異なるため、事前に専門家に調査してもらい既存の状態を確認してもらったり、新築時の建築図書(設計図や仕様書など)が保管されていればどのような防水が施されているか把握しておきましょう。

では、それぞれの工法別に主な改修方法を紹介します。

ウレタン(塗膜)防水

ウレタン(塗膜)防水とは、躯体の上にウレタン系防水材を塗り重ねて防水層を形成する方法です。施工時に液状なため、狭小部位の施工も容易で、多くの建物に用いられています。改修は既存の劣化具合によって段階的に行われます。

トップコートの塗り替え(劣化が進んでいない場合)

部分的な摩耗・剥がれ・浮き・膨れの補修(部分的に不良箇所が見られるが、全体的にはあまり痛んでいない場合)

排水ドレンの詰まり清掃(排水ドレンが詰まっていると周囲の防水層を痛めてしまうため、定期的な清掃が必要)

下地からの全面やりかえ(劣化がひどく、既に雨漏りしている場合など)


まず、劣化が軽度な場合や定期的にメンテナンスを繰り返している場合には、トップコートの塗り替えだけで防水層の機能を維持できます。ただし、全体的には痛んでいない場合でも、よく歩行する部分だけ表面が摩耗していたり塗膜が傷ついていれば、その周辺に剥がれや浮き・膨れが発生することもあります。そのような場合には、部分補修も可能です。

また、竪樋や排水ドレンにゴミが詰まって排水不良を起こすと、防水層の下に雨水が流れ込んだり湿気が残って劣化が早まる可能性もあるため、定期的に確認・清掃することは欠かせません。これらの手入れを怠ると、補修では直しきれないところまで劣化が進み、下地から根本的にやりかえなくてはならなくなります。



シート防水

シート防水とは、躯体の上に塩化ビニル系防水シートを施工する方法で、単層防水のため施工工程が簡略なのが特徴です。こちらもウレタン(塗膜)防水と同様に改修工法は劣化度合いによって段階的に行います。

部分的な摩耗・剥がれ・浮き・膨れの補修(部分的に不良箇所が見られ、全体的にはあまり痛んでいない場合)

シートジョイント(重ね部)の口開き補修(シート同士のジョイント(重ね部)が口開きしたり剥がれたりした場合)

排水ドレンの詰まり清掃(排水ドレンが詰まっていると周囲の防水層を痛めてしまうため、定期的な清掃が必要)

下地からの全面やりかえ(劣化がひどく、既に雨漏りしている場合など)

 
ウレタン(塗膜)防水と主な流れは同じです。部分的な不具合があればシートをパッチ処理等で部分補修できます。そして、シート防水においても排水ドレンの詰まりは劣化を引き起こすため、定期点検は必須となります。さらに、シート端末部は雨水が浸入しやすいため、平場よりもさらに重点的に劣化していないかチェックしなくてはいけません。




アスファルト防水

アスファルト防水は、ルーフィングと呼ばれる防水シートを重ねて貼り付ける工法で、歴史が古いことから信頼でき防水性が高いことで知られています。ウレタン(塗膜)防水やシート防水とは異なり、表面の仕上げによって劣化症状が異なるため、状況に合わせた改修方法を選ばなくてはいけません。

露出アスファルト防水:シートの摩耗、膨れ、ジョイント(重ね部)の口開きの部分補修(部分的に不良箇所が見られ、全体的にはあまり痛んでいない場合)

押さえコンクリート仕上げ:伸縮目地材の飛び出しやコンクリート面の欠落やひび割れの部分補修(部分的に不良箇所が見られ、全体的にはあまり痛んでいない場合)

排水ドレンの詰まり清掃(排水ドレンが詰まっていると周囲の防水層を痛めてしまうため、定期的な清掃が必要)

下地からの全面やりかえ(劣化がひどく、既に雨漏りしている場合など)

 
押さえコンクリートの場合には防水層のダメージが表には見えてきませんが、露出アスファルト防水の場合には目視で劣化が確認できます。ですから、日頃より小さな不具合を見つけられるようにセルフチェックするようにしましょう。ただし、屋上に上がるのが危険な場合はプロに調査を依頼してください。アスファルト防水の場合も排水ドレン周りには負荷がかかりやすく劣化が早いため、注意しましょう。




防水の改修には「かぶせ工法」がおすすめ

「かぶせ(被せ)工法」とは、既存の防水層を撤去せずにその上から新規の防水工事を施す方法を言います。ウレタン(塗膜)防水、シート防水、アスファルト防水にて「かぶせ工法」を採用できます。

引用元:田島ルーフィング|冷熱併用工法「ストライプ工法」

主なメリットは以下の4点です。

  • 撤去工事が不要なので、費用削減や建物への負荷が軽減できる。
  • 工期が短縮でき、撤去に伴う騒音や埃の影響が少ない。
  • 廃棄物が出ないため、環境にやさしい。
  • 既存防水層が機能している場合は、その性能も活かせる。


ただし、どの物件にもこの「かぶせ工法」が施工できるとは限りません。採用する場合の注意点は以下の3点です。

  • 新規防水層分の重量負荷が追加されてしまう。
  • 既存防水層と相性の良い工法を選ばないと、施工不良の原因になってしまう。
  • 既存防水層の状態を細かく調査して適切な処理をした上でないと、新規防水層のかぶせ施工ができない。


これらの理由から、安易にかぶせ工法を施工すれば良いという訳ではなく、十分な知識と経験のあるプロが調査した上で適切と判断した場合のみ採用することが重要です。ですから、コストや工期面でのメリットに捉われず、実績のある施工会社に相談しましょう。

〈関連ページ〉
こちらのページでも「かぶせ工法」について詳しく解説しています。興味のある方は是非合わせてご覧ください。

 

防水はどのくらいで改修するべき?

ここまでは改修方法について解説しましたが、ではどのくらいの周期でメンテナンスを検討しなくてはいけないのでしょうか?実は、既存防水層の種類によって耐用年数やメンテナンスの時期は異なります。

 耐用年数
塗膜防水
ウレタン防水(密着工法):5年程度(5〜8年でメンテナンス)
ウレタン防水(通気緩衝工法):10〜15年(5〜10年でメンテナンス)
アスファルト防水
改質アスファルトシート防水:15年~20年(5~8年でメンテナンス)
シート防水
塩ビシート防水(密着工法)10年~15年程度(10〜15年でやりかえ)
塩ビシート防水(機械的固定工法):15年~20年程度(15年でやりかえ)
※上記内容はあくまで標準的な材料・工法の場合で、機能性材料を使用した場合など、一部適合しない場合もあります。ご了承ください。


ただし、これらの年数はあくまで目安であり、紫外線や雨風の影響を受けやすい場所は劣化が早く、定期メンテナンスを怠っている建物は従来の耐用年数を待たずに大規模改修が必要な場合もあります。できる限りメンテナンス費用をかけずに建物を健全な状態で維持するためには、何か不具合が起きてからではなく定期的に専門家に現況調査をしてもらうことが大切です。日頃より施工会社に相談しておくことで、万が一雨漏りが発生してもスムーズに対応してもらえます。また、所有者の方が雨漏りの原因となりうる劣化サインを知っておけば、こまめなセルフチェクも可能です。


〈関連ページ〉
下記コラム記事では、雨漏りの原因となる劣化サインについてや、見つけた時の対処法、建物を長持ちさせるためのポイントを紹介しています。何か起きてしまう前に、ぜひ内容を把握しておきましょう。




防水改修方法の選定方法は?

関東防水管理事業協同組合(関防協)のサイトでは、既存の防水工法別にオススメの改修方法をが見つかるチャートを紹介しています。現状どのような防水層工事なのか分からない方でもお使いいただけるように写真付きで解説していますので、「そろそろ防水のメンテナンスをしようかな」と検討している方や、「古い建物なので雨漏りが心配」と考えている方は、ぜひ一度お試しください。

〈関連ページ〉
さらに細かい工法を知りたい方は、ぜひ下記サイトをご覧ください。最新の改修工法についてのカタログが確認できます。



工事店はどうやって選ぶ?業者選びに困ったら関防協へご相談を!

工事会社を選ぶのに不安を感じる方は、ぜひ関東防水監理事業協同組合(関防協)へお気軽にご相談ください。当協同組合は、主に関東にある防水改修の会社で形成されているグループです。東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の関東地域に限らず、山梨・静岡・長野・新潟にも支部があり、計191社の正会員がおります(2019年11月時点)。また、年々進化し続けている防水工事についての教育活動も行なっており、適切な調査や提案ができる「防水改修調査診断員」の育成を実施しています。そのため、安心して防水トラブルについてご相談いただけます。当HPではマップ上での施工店検索もでき、建物の防水層改修調査も承っておりますので、ぜひお気軽にご活用ください。

〈関連ページ〉
下記コラムでは、施工会社の選び方を詳しく紹介しています。どこに頼めばいいか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。



まとめ|屋上やベランダの防水は劣化度合いに合わせて適切な処置を

今回は賃貸物件の維持管理には欠かせない防水改修について解説しました。現状の防水工事に適した改修方法を選ぶことはもちろん重要ですが、一般的な耐用年数やメンテナンス周期に捉われずに、劣化度合いをこまめにチェックして不具合が深刻化する前にメンテナンスを検討しましょう。そのためには、定期的に専門家に調査してもらうことや、所有者の方によるセルフチェックは欠かせません。どちらにしても雨漏りのサインを見逃さず、計画的に建物をお手入れしてください。「信頼できる業者がわからない」そんな方は、ぜひ関東防水管理事業協同組合のネットワークで信頼できる工事店を探してみてください。都道府県別に登録業者を検索できるため、近くの工事店を簡単に見つけられます。少しでも防水に不安や不満を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

こちらもおすすめ!暑さや寒さ対策にも活躍する防水工事

防水リフォーム工事を検討中の方におすすすめなのが、「サーモコントロール断熱改修」です。屋上からの熱気や冷気を防水層で軽減できる上に耐久性も高く、空調機器の使用量を減らすこともできるため、省エネという観点からも注目されています。実際に施工されたお客様の声も紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

〈関連ページ〉
下記ページではサーモコントロール断熱の詳細や実際に施工をご決断されたお客様のご意見を紹介しています。興味のある方は是非合わせてご覧ください。