アスファルト防水の施工手順とは?工法の種類や屋上防水の流れを解説

マンションやビルの屋上からの雨漏りを防ぐために欠かせないのが、防水工事です。
中でも「アスファルト防水」は、屋上や屋根などに用いられてきた代表的な防水工法とされています。
改修工事では、新しく防水層を施工する前に既存防水層や下地の状態を確認し、建物の状況に応じた工法を選ぶことが重要で、近年は、既存防水層を活用しながら耐久性の向上を図る工法も選択肢の1つです。
本記事では、アスファルト防水の基本的な施工手順を、下地の確認から防水層の施工、立ち上がりやドレンなどの処理、仕上げまで順を追って解説します。
マンションやビルの防水改修で確認しておきたいポイントや、工法を選ぶ前に建物診断を行う重要性についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
このコラムで分かること
- アスファルト防水・改質アスファルト防水は、水密性が高く信頼性の高い工法として多くの建物に採用されています。
- アスファルト防水・改質アスファルト防水にはいくつかの工法があり、それぞれ特徴が異なるため、屋上などの防水を改修する際には、劣化状況や既存防水層の種類、予算などに応じて、適切な工法を選択することが重要です。
- 既存防水層の状態によっては、費用を抑えられる「かぶせ工法」や、耐用年数の長い「ガムクールFRAT」などの工法を選べる可能性があります。
Contents
アスファルト防水とは

アスファルト防水とは、液状の溶融アスファルトとアスファルトルーフィングを組み合わせて防水層を形成する工法で、高い水密性・耐久性をもつ防水層が特徴です。
塗膜防水やシート防水などと比べて歴史が長く、信頼性の高さから、多くのマンション・ビルの屋上に施工されています。
▶︎関連コラム:アスファルト防水とは?工法・耐用年数・補修のタイミングをわかりやすく解説
アスファルト防水・改質アスファルト防水の違い
アスファルト防水と似た工法に「改質アスファルト防水」があり、使用する材料・施工方法・性能に違いがあります。
| 【材料の違い】 |
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| 【施工方法の違い】 |
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| 【性能の違い】 |
→耐用年数は工法・仕様・使用環境などによって異なり、5~8年の周期で定期的なメンテナンスが必要(表面保護※・仕上げの方法によっても、耐用年数は異なる) |
※表面保護:防水層をそのまま仕上げとするか、防水層の上にコンクリートを敷設したり、砂付きルーフィングシートを施工したりする方法がある
▶︎関連コラム:改質アスファルトシート防水の特徴と工法|メリット・デメリットも解説
施工方法の種類とそれぞれの特徴
アスファルト防水・改質アスファルト防水は、施工方法によって特徴やメリット・デメリットが異なり、現場に合わせて適切な方法を選定する必要があります。
| アスファルト防水
【熱工法】 |
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| アスファルト防水
【常温工法】 |
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| 改質アスファルト防水
【トーチ工法】 |
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| 改質アスファルト防水
【常温粘着工法】 |
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| 改質アスファルト防水
【機械固定式工法】 |
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▶︎関連コラム:アスファルト防水の種類と工法の違い|事前に知っておきたい注意点や劣化のサイン
マンション・ビルの屋上改修は物件ごとに適切な工法が異なる場合も
防水工事の会社は、建物ごとの条件に合わせて工法を選ぶため、マンションやビルの防水改修を検討する際には、まず専門家に現地調査を依頼するところから始めましょう。
以下の条件によって、適切なアスファルト防水の工法が異なります。
【工法選びに影響するポイント】
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※劣化状況・建物の築年数・予算などによって撤去の可否は異なる
これらの条件によって適切な防水工法は異なり、工法によって施工手順が異なるため、マンション管理組合の方やビルオーナーの方は、全体の流れを押さえておくことも重要です。
▶︎関連コラム:屋上防水には欠かせない“改修用ドレン”|重要性や仕組み・施工方法まで詳しく解説
アスファルト防水の改修工事|施工手順(調査・下地処理から仕上げまでの流れ)

アスファルト防水・改質アスファルト防水の改修工事は、工法によって詳細な施工手順は異なりますが、現地調査から仕上げまでのおおまかな流れには共通点があります。
①現地調査で既存防水層の状態を確認する
まず、専門家による現地調査により、既存防水層の状態を確認します。
【防水工事における現地調査の主な項目】
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※ドレン:屋上に降った雨水を側溝から縦樋に送るために排水口に取り付ける部材
※パラペット:屋上の外周に設置される低い立ち上がり部分(詳細は「パラペットとは?意味や役割を解説|防水性と安全性に欠かせない」をご覧ください。)
国土交通省が公表する「長期修繕計画作成ガイドライン」でも、大規模修繕の計画を立てる際には、調査・診断が重要な要素として位置付けられています。
出典:国土交通省|マンション管理|長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン(コメント含む)P.30〜
現地調査を行う専門家は、新築時の設計図書・修繕履歴の資料・目視や打診で確認できる現状を踏まえて屋上防水の状態を把握し、適切な工法を選定するのが一般的な流れです。
※以下で紹介する施工手順は、国土交通省の資料に記載される一般的な流れです。実際の場合と異なる可能性がありますので、詳細は施工会社にご確認ください。
②下地を清掃・補修し、施工できる状態に整える
防水工法を選定し、着工準備が済んだら、まずは施工範囲の下地を清掃・補修し、上からアスファルト防水・改質アスファルト防水を施工できる状態に整えます。
具体的な作業内容は、以下のとおりです。
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※水勾配:雨水・汚水が排水口や側溝に流れるように平らな部分につける緩やかな傾斜
③下地処理する・プライマーを塗布する
アスファルト防水・改質アスファルト防水において、下地処理は施工の仕上がりを左右します。
下地と防水層を密着させるために、アスファルトプライマーを塗布し、塗布量は工法によって異なり、所定の乾燥時間を確保することで、防水性能を発揮しやすくなります。
④アスファルトルーフィング・溶融アスファルトを施工する
アスファルトルーフィング・溶融アスファルトを施工する順番や回数は、工法によって異なるため違いを押さえておきましょう。
国土交通省の資料で推奨する密着工法(熱工法・常温工法・トーチ工法・常温粘着工法)と絶縁工法(機械固定式工法)の手順は、以下のとおりです。
| 【密着工法】 |
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| 【絶縁工法】 |
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(上記は平場部分における施工手順の一例で、立ち上がり部分やドレン周りなどは、手順が異なる場合があります。)
出典:国土交通省|官庁営繕|公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版P.99〜
⑤立ち上がり・ドレン周りを処理する
平場部分の防水改修に加えて、立ち上がり・ドレンや、配管や太陽光発電パネル・手すりなどの架台周りの取り合い部分を処理します。
ドレンの劣化状態によっては、改修用ドレン※を設置し、立ち上がり部分を塗膜防水で納める場合もあるため、詳細は施工会社にご確認ください。
※改修用ドレン:既存ドレンにひと回り内径の細いドレンを差し込むタイプで、ドレン周りを解体せず、排水力を適切な状態にできる(詳細は「屋上防水には欠かせない“改修用ドレン”|重要性や仕組み・施工方法まで詳しく解説」をご覧ください。)
⑥表面の仕上げ(保護)を行う
防水層が仕上がったら、最後に表面の仕上げをします。
表面仕上げの方法は、主に以下のとおりです。
| 【保護仕上げ】 |
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| 【露出仕上げ】 |
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仕上げの方法によって、防水層形成の工程も変わる場合があります。
▶︎関連コラム:アスファルト防水の保護コンクリートの役割や耐用年数|劣化症状やメンテナンス方法、改修方法も解説
アスファルト防水の改修におけるチェックポイント

マンション・ビルの屋上防水改修工事を検討する場合、既存防水層がアスファルト防水・改質アスファルト防水の場合は、以下のポイントを押さえて計画を進めましょう。
築年数・防水工法の耐用年数だけで改修時期を決めない
アスファルト防水・改質アスファルト防水の標準的な耐用年数は15〜20年程度で、5~8年ごとに表面の保護層・仕上げ層のメンテナンスが必要になるのが目安ですが、必ずしもこの時期が適切とは限りません。
屋上の日当たりや屋根の有無、歩行の頻度、劣化の進行具合など様々な条件により、適切な改修時期は異なります。
そのため、「そろそろメンテナンスの時期だから改修計画を始める」のではなく、5年に1度程度は専門家による防水診断を受けることを検討しましょう。
定期的に防水診断を受けると、劣化を早いうちに発見でき、補修費用を抑え、雨漏りのリスクを低減できる可能性があります。
「撤去工法」と「かぶせ工法」を検討する
現場によっては、既存防水層をすべて撤去して新たな防水工事を行う「撤去工法」と、既存防水層を残してその上から新たな防水工事をする「かぶせ工法」を選ぶことが可能です。
どちらの工法が適切かは、条件によって異なり、以下の場合は「撤去工法」になる場合が多いため、既存防水層の解体撤去や処分にかかる費用が発生する点には注意しましょう。
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「撤去工法」と「かぶせ工法」のどちらにするかは、専門家による防水診断で判断されるため、「うちのマンションはかぶせ工法で改修費用を削減できるか知りたい」という場合などは、まずは施工会社などに防水診断を依頼しましょう。
▶︎関連コラム:かぶせ工法とは?工法で変わる屋上防水の工事期間と改修費用
▶︎関連コラム:アスファルト防水の撤去工法とは?かぶせ工法との違いやメリット・デメリットも解説
「断熱性能」の必要性を検討する
アスファルト防水・改質アスファルト防水には、断熱材をはさみこむ納まりを選択できる場合があります。
ただし、既存防水層の納まりなどによって断熱材を設置できるかどうか異なるため、最上階の暑さ・寒さが気になる場合は、防水診断の際に断熱性能を向上させたい旨を施工会社に伝えましょう。
出典:国土交通省|官庁営繕|公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版P.100〜
既存防水層が
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断熱防水改修工法「サーモコントロール断熱」の詳細はこちら>>>
他の防水方法での改修を検討する
既存のアスファルト防水・改質アスファルト防水の仕上げ方法によっては、ウレタン防水に変更することが可能な場合もあります。
ウレタン防水は、アスファルト防水・改質アスファルト防水よりも条件によっては施工費用を抑えられるケースが一般的です。
ただし、既に雨漏りが発生していたり防水層の劣化が進んでいたりする場合は、ウレタン防水への変更が難しい場合もありますので、詳しくは施工会社に現地を確認してもらい、判断しましょう。
▶︎関連コラム:アスファルト防水の改修にウレタン防水は施工できる?費用・工法・注意点を解説
長期修繕計画を踏まえて工事時期を決める
マンション・ビルで屋上防水の改修工事を検討する際には、長期修繕計画の内容を確認し、外壁改修などと合わせて工事計画を立てる方法をおすすめします。
防水改修と外壁改修など外回りの工事を同じ時期に行うことにより、工事をまとめて実施することで、居住者・利用者の負担や工事に伴う調整の手間を軽減することが可能です。
長期修繕計画において、屋上防水は重要な項目とされており、定期的に実施する建物診断の結果を踏まえて、劣化が深刻になる前の早めの補修を実現できます。
▶︎関連コラム:建物の“長寿命化”に欠かせない「長期修繕計画」とは?メリットから活用方法まで詳しく解説
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【FAQ】アスファルト防水・防水改修に関するよくある質問

ここでは、アスファルト防水や防水改修に関する「よくある質問」を紹介します。
Q.アスファルト防水は工法によって費用(工事単価)は変わる?
A.アスファルト防水は、工法によって費用(工事単価)は大きく異なり、東京都がまとめた工法別単価を比較しても2倍以上の差が出ているものもあります。
(例)
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出典:東京都財務局|東京都工事設計単価表について|その他|建築資材(財務)(令和8年度東京都工事設計単価表_令和8年5月1日発行)
工法の違いに加え、施工面積や形状も作業効率に影響するため、現場ごとに工事単価が変動します。
そのため、費用の詳細を知りたい方は、施工会社に見積もりを依頼しましょう。
Q.アスファルト防水は雨の日でも施工できる?
A.アスファルト防水は、下地が乾燥している状態でなければ施工できず、下地が濡れた状態で施工すると、後にその水分が日射熱で温められて防水層の下で水蒸気となり、膨れ・剥がれなどの原因になる可能性があります。
また、防水材によって施工できる気温環境の範囲が決められているものが多いため、極端に寒い冬に施工が中断してしまうケースは珍しくありません。
そのため、屋上防水の劣化が進み早めに改修したい場合は、梅雨や台風の時期を避けて施工できるように、余裕をもって改修計画を進めましょう。
▶︎関連コラム:〈よくある疑問〉雨が降っていても防水工事はできる?雨天の施工で起こる問題点は?
Q.アスファルト防水の工事中は屋上を使用できる?
A.アスファルト防水に限らず屋上防水の改修工事をしている間は、原則として作業員以外の立ち入りが制限されます。
これはマンションのルーフバルコニーなども同様です。
そのため、マンション・ビルの場合は、早めに施工会社と工程や工事期間を確認し、居住者やテナントに事前周知する必要があります。
Q.屋上に太陽光パネルが設置されていても屋上防水の改修はできる?
A.既に屋上に太陽光パネルが設置されている状態で屋上防水の改修をする場合、基本的にはパネルの脱着が必要になる場合があります。
そのため、太陽光パネルの交換工事やメンテナンス作業の時期と合わせて防水改修工事を実施すると、付帯工事にかかる費用を抑えられる可能性があるため、建物の総合的な工事スケジュールを確認しましょう。
▶︎関連コラム:屋上への太陽光パネル設置は防水工事が重要|「やめとけ」と言われる理由やメリット・雨漏り対策も解説
Q.アスファルト防水の改修後にチェックするポイントは?
A.アスファルト防水の改修を行った後は、定期的な目視確認によって「平面における防水層のひび割れ・浮き・膨れ・剥離」や「立ち上がり部分の取り合い部の劣化」、「排水口周り」を重点的にチェックしましょう。
ただし、屋上に上がれないマンション・ビルでは、外周に手すりや柵が設置されていない場合があるため、目視確認も専門家に依頼すると安心です。
また、定期的に目視確認して一見不具合がないようでも、チェック漏れがある可能性もあるため、5年に1度程度、定期的に専門家による防水診断を受けることをおすすめします。
▶︎関連コラム:屋上の雨漏りを防ぐアスファルト防水と劣化早期発見の必要性
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「ガムクールFRAT」は、以下の点が特徴です。
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まとめ
アスファルト防水・改質アスファルト防水は、水密性が高く信頼性の高い工法として多くの建物に採用されています。
いくつかの工法があり、それぞれ特徴が異なるため、屋上などの防水を改修する際には、劣化状況や既存防水層の種類、予算などに応じて、適切な工法を選択することが重要です。
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